ウエスト症候群(点頭てんかん)は、生後1年以内(特に生後4〜7ヶ月)の乳児に発症する難治性のてんかん症候群である。CBTや医師国家試験では、シリーズ形成性の点頭発作、脳波でのヒプスアリスミア、精神運動発達遅滞の「三主徴」と、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)療法やビタミンB6の大量投与が頻出の重要疾患である。
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点頭発作(Spasm:スパスム。瞬間的な筋収縮による頭部前屈、上肢挙上・屈曲。1日に数十回から数百回、シリーズを形成して出現する)
精神運動発達の停滞・退行(あやしても笑わない、視線が合わない、首のすわりが失われるなど)
初期評価
生後1年以内の乳児における、モロ反射に似た異常な動作の反復と、発達の遅れ・退行のエピソードから本疾患を強く疑う。
検査
確定診断は『脳波検査』であり、「ヒプスアリスミア(hypsarrhythmia)」を確認する。原因疾患検索のために、頭部MRI検査(脳形成異常や結節性硬化症の有無)、血液検査、髄液検査、遺伝学的検査などを行う。
鑑別
良性乳児ミオクロニーてんかん、サンドフェル症候群(胃食道逆流に伴う異常体位)、モロ反射(正常な原始反射)。
根本治療
難治性であり、通常の抗てんかん薬は無効なことが多い。
①第一選択薬として、「ビタミンB6(ピリドキシン)」の大量投与や、「バルプロ酸ナトリウム」の内服を行う。
②無効な場合や重症例に対しては、『ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の筋肉内注射』を行う(劇的な効果を示すことが多いが、易感染性や脳萎縮、肥大型心筋症などの重篤な副作用に厳重な注意が必要)。
③結節性硬化症が原因の場合は、ビガバトリン(GABAトランスアミナーゼ阻害薬)が著効する。
病態
脳の広範な機能異常により、特有のてんかん発作と重篤な発達障害をきたす。
原因
結節性硬化症、低酸素性虚血性脳症、頭蓋内出血、先天性代謝異常など、何らかの脳の器質的障害(症候性)が背景にあることが多いが、原因不明(潜因性)のこともある。
試験での重要ポイント
絶対に覚えるべき『三主徴』がある。
①【シリーズ形成性の点頭発作】:覚醒直後などに、頭をカクンと前に倒し、両手をバンザイするように挙上する発作(モロ反射に似る)を、数秒〜十数秒おきに反復(シリーズ形成)する。
②【ヒプスアリスミア(hypsarrhythmia)】:脳波所見。高振幅で無秩序・不規則な徐波と棘波(スパイク)が混在する極めて特徴的な波形。
③【精神運動発達遅滞】:発症とともに発達が退行(できていた首すわりができなくなる、笑わなくなる等)する。
治療の第一選択として『ビタミンB6(ピリドキシン)』の大量投与や、ステロイドホルモンの一種である『ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の筋肉内注射』が超頻出。
覚え方・コツ
「ウエスト(点頭てんかん)は、赤ちゃんのてんかんの最悪パターン。起きた時に頭をカクン、バンザイ(点頭発作)を繰り返す。脳波はメチャクチャ(ヒプスアリスミア)。知能も遅れる。特効薬はビタミンB6とACTH(ステロイドの親玉)注射!」
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TRAPSは、TNF(腫瘍壊死因子)受容体の遺伝子変異により、病原体の感染がないのに自然免疫が暴走して長期間の発熱を繰り返す「自己炎症性疾患」。1週間以上続く発熱、遊走性の筋肉痛、眼周囲の浮腫を特徴とする。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。