リハビリ評価の完全まとめ|ROM・MMT・歩行・FIM・神経評価を実習と国試で使える形に整理

リハビリ学生向けにROM、MMT、歩行分析、FIM、Brunnstrom stage、反射検査、感覚検査をまとめて解説。実習で何を見ればいいか、国家試験でどう点に変えるかまで整理します。

リハビリ学生向けにROM、MMT、歩行分析、FIM、Brunnstrom stage、反射検査、感覚検査をまとめて解説。実習で何を見ればいいか、国家試験でどう点に変えるかまで整理します。
Brunnstrom stageの覚え方をリハ学生向けに解説。ステージⅠ〜Ⅵ、共同運動パターン、上肢・手指・下肢の見方、国試での選択肢の切り方を整理します。
歩行分析の基本をリハ学生向けに解説。立脚期・遊脚期、股関節・膝関節・足関節、正常歩行との比較、レポートでの書き方まで整理します。
反射検査をリハ学生向けに解説。深部腱反射、病的反射、反射弓、上下位運動ニューロン障害、左右差、記録方法、国試ポイントまで整理します。
リハビリ実習で最初にぶつかる壁は、「何を評価すればいいのか分からない」ことです。ROMもMMTも歩行もFIMも授業では習っているのに、患者さんを前にすると、どの順番で見ればいいのか、結果をどう解釈すればいいのか、レポートにどう書けばいいのかが急に分からなくなります。
結論からいうと、リハビリ評価は「検査をたくさん並べること」ではありません。生活上の困りごとを出発点にして、その原因を身体機能・活動・参加のレベルへ分解する作業です。厚生労働省の理学療法士・作業療法士国家試験出題基準でも、評価・検査・測定は基礎科目と専門科目をつなぐ重要領域として扱われます。日本理学療法士協会の臨床実習教育の手引きでも、臨床実習は評価・記録・文章作成・個人情報保護まで含む実践的な学習として整理されています。
この記事では、PT・OT学生が実習と国試で必ず使う評価を、ROM、MMT、歩行分析、FIM、Brunnstrom stage、反射検査、感覚検査の7領域に分けて解説します。
評価は次の順番で考えると崩れにくくなります。
生活の問題
↓
動作の問題
↓
機能の問題
↓
原因仮説
↓
介入方針たとえば「トイレ動作が不安定」という問題があったとします。このとき、いきなり「股関節外転筋を鍛える」と決めるのは早すぎます。まず、立ち上がりで崩れるのか、方向転換で崩れるのか、ズボン操作で崩れるのかを分けます。そのうえで、下肢筋力、ROM、感覚、バランス、認知、環境を見ます。
評価は「検査項目を埋める作業」ではなく、なぜその人がその動作で困っているのかを説明する作業です。
ROM測定は、関節可動域を角度で表す基本評価です。日本リハビリテーション医学会では、関節可動域表示ならびに測定法の改訂が2022年4月に告知されており、ROMは用語と測定肢位をそろえて扱う必要があります。
実習で大事なのは、数字だけを記録しないことです。
悪い例:
右股関節屈曲90°。
良い例:
右股関節屈曲90°。健側より制限があり、立ち上がり時の体幹前傾不足と関連する可能性がある。
ROMは「制限があるか」を見るだけではありません。その制限がどの動作に影響しているかまで書けると評価になります。
詳しくは、ROM測定のコツで測定姿勢・代償・記録の仕方を整理しています。
MMTは徒手筋力検査です。Oxford scale / MRC系の筋力評価は0〜5段階で筋力を表す方法として広く使われます。NIEHSが公開しているManual Muscle Testing Proceduresでも、筋収縮なし、重力除去位での運動、抗重力位での保持、抵抗に対する保持という考え方が整理されています。
学生が間違えやすいのは、MMTを「力比べ」として扱うことです。MMTは強く押せばよい評価ではありません。見るべきポイントは次の3つです。
正しい肢位を取れているか
代償運動が出ていないか
抵抗をかける方向とタイミングが合っているか
MMTは国試でも実習でも頻出です。特に中殿筋、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋、下腿三頭筋は、歩行分析とセットで考えると記憶に残りやすくなります。
詳しくは、MMTのやり方と覚え方へ進んでください。
歩行分析が苦手な学生の多くは、「歩き方がおかしい」とだけ見ています。しかし、それでは評価になりません。歩行分析は、どの相で、どの関節が、正常からどう外れているかを書く作業です。
基本の型はこれです。
いつ:立脚期か、遊脚期か
どこ:股関節・膝関節・足関節・骨盤・体幹
何が:屈曲、伸展、内外反、回旋、左右差
なぜ:筋力、ROM、疼痛、感覚、バランス歩行周期は一般に立脚期と遊脚期に分けて考えます。観察では、最初から原因を断定するのではなく、「記述」と「解釈」を分けることが重要です。
悪い例:
中殿筋が弱いのでトレンデレンブルグ歩行。
良い例:
右立脚中期に左骨盤下制を認める。右股関節外転筋力低下、疼痛回避、体幹側屈代償の可能性を考える。
詳しくは、歩行分析の基本で、立脚期・遊脚期ごとの見方を解説しています。
FIMはFunctional Independence Measureの略で、ADLを運動項目13項目、認知項目5項目、合計18項目で評価する指標です。厚生労働省資料でも、各項目を7〜1点で評価し、合計126〜18点の範囲でADLを表すことが示されています。
FIMで大切なのは、「能力」ではなく実際に行っている動作を評価することです。できそうかどうかではなく、実際の病棟生活でどの程度の介助が必要かを見ます。
実習では、FIMを単なる点数として書くのではなく、次のように使うと評価に変わります。
FIMで困っているADLを把握
↓
そのADLを構成する動作を分解
↓
ROM・MMT・感覚・認知・環境で原因を確認
↓
介入目標へつなぐ詳しくは、FIMとは?評価方法まとめで整理しています。
Brunnstrom stageは、脳卒中後の運動回復を共同運動や分離運動の出現から段階的に見る評価です。研究では、Brunnstrom Recovery Stageは上肢・手指・下肢の運動機能を評価する方法として扱われています。
国試では、ステージ番号だけを覚えるより、次の流れで覚えると強くなります。
I:弛緩
II:連合反応・わずかな随意運動
III:共同運動が強く出る
IV:共同運動から少し外れる
V:より分離した運動
VI:協調性のある分離運動臨床では「何期か」だけで終わらせず、今できる運動、代償、ADLへの影響まで見る必要があります。詳しくは、Brunnstrom stageの覚え方へ。
深部腱反射は、求心性神経、脊髄内のシナプス、運動神経、下行性運動路を反映します。MSDマニュアルでは、下位運動ニューロン障害では反射が減弱し、上位運動ニューロン障害では反射が亢進しうると説明されています。
反射検査で大事なのは、単発の結果ではなく、左右差と他の所見との組み合わせです。
膝蓋腱反射:L4
アキレス腱反射:S1
上腕二頭筋反射:C5/6
腕橈骨筋反射:C6
上腕三頭筋反射:C7
詳しくは、反射検査のまとめで見方を整理しています。
感覚検査では、触覚、痛覚、温度覚、振動覚、位置覚などを確認します。NCBI Bookshelfでは、デルマトームを light touch、pinprick、temperature sensation などで評価し、感覚障害の局在を推定する考え方が説明されています。
リハ学生が見るべきポイントは、「ある・ない」だけではありません。
左右差があるか
遠位優位か
デルマトームに沿うか
末梢神経支配に沿うか
動作やADLに影響しているか
詳しくは、感覚検査のやり方で確認してください。
初学者は、次の順番で考えると抜けが減ります。
主訴・生活上の困りごとを聞く
ADLをFIMや観察で見る
問題になる動作を選ぶ
ROM・MMT・感覚・反射を必要な範囲で行う
歩行や起立などの動作と結びつける
統合と解釈を書く
介入方針を立てる
ポイントは、すべての検査をやろうとしないことです。患者さんの問題に関係する検査を優先します。
国試では、評価の手技そのものだけでなく、「どの評価を選ぶか」「どの結果から何を考えるか」が問われます。対策では、次の3段階で復習してください。
名称を覚える
↓
手順を説明できる
↓
結果を疾患・症状・ADLに結びつけるたとえば、脳卒中ならBrunnstrom、反射、感覚、FIM、歩行分析をセットで見る。変形性膝関節症ならROM、MMT、疼痛、歩行、ADLをセットで見る。疾患ごとに評価を束ねると、実地問題で迷いにくくなります。
評価は暗記だけでは伸びません。ROM、MMT、反射、感覚、FIMを別々に覚えるのではなく、疾患・症状・ADLに接続する必要があります。
Medulavaのアスクレピアでは、評価結果を「どう解釈すればいいか」を整理し、疾患図鑑では脳卒中、整形外科疾患、神経疾患などを症状・検査・治療の流れで確認できます。
整理したい: アスクレピア
疾患とつなげたい: 疾患図鑑
概念を復習したい: 概念図鑑
実習前は「評価項目を覚える」だけでなく、「評価結果をどう説明するか」まで練習しておくと、レポートと口頭質問でかなり楽になります。
必要ありません。まずはROM、MMT、歩行、FIM、反射、感覚の基本だけで十分です。完璧に暗記するより、患者さんの問題に合わせて選べるようにすることが大切です。
考察は「結果の感想」ではなく「動作やADLとの関係」です。ROM制限や筋力低下が、どの動作のどの局面に影響しているかを書きます。
ROMとMMTから始め、次に歩行分析、FIM、神経評価へ広げるのがおすすめです。疾患別に評価項目を束ねると記憶に残りやすくなります。
・厚生労働省|令和6年版 理学療法士作業療法士国家試験出題基準
・日本理学療法士協会|臨床実習教育の手引き(第6版)
・日本リハビリテーション医学会|関節可動域表示ならびに測定法改訂に関する告知(2022年4月改訂)
・厚生労働省|日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要
・Stanford Medicine 25|Deep Tendon Reflexes
・MSDマニュアル プロフェッショナル版|反射の評価
・NCBI Bookshelf|Trauma Neurological Exam
・Huang et al.|Improving the utility of the Brunnstrom recovery stages in patients with stroke
・Medulava|疾患図鑑
・Medulava|概念図鑑
Medulava の学習コンテンツとして、理解しやすさと再現性を意識して執筆しています。
この記事で理解した内容を、そのまま次の学習アクションへつなげられます。
FIMの評価方法をリハ学生向けに解説。18項目、7段階採点、運動項目・認知項目、実習レポートでの書き方、ADL評価としての使い方を整理します。