ROM測定のコツ|関節可動域の測定条件・代償・記録方法

ROM測定で、自動・他動、測定肢位、固定、疼痛、代償を区別する方法を紹介。標準条件で測れない場合の記録と、同じ条件で比較するための架空例を示します。

ROM測定で、自動・他動、測定肢位、固定、疼痛、代償を区別する方法を紹介。標準条件で測れない場合の記録と、同じ条件で比較するための架空例を示します。
Brunnstrom stageは、脳卒中後の上肢・手指・下肢を分け、共同運動と分離運動の出現を評価します。番号だけで歩行や更衣の能力を決めず、実際に可能だった運動とADLを別々に記録します。
歩行分析では、どの時期に、どの部位が、どう動いたかを記録してから原因を考えます。歩行名や筋名を先に当てはめず、補助具、速度、疼痛などの観察条件もそろえます。
反射検査は、反射弓と上位からの調節を筋力・感覚などと合わせて評価する診察です。左右の検査条件をそろえ、程度、左右差、増強法の有無を記録します。
ROM(関節可動域)は、関節をどこまで動かせるかを角度などで表す評価です。値を比べるには、どの動かし方・肢位・条件で測ったかが必要です。大きな角度が出たことだけを成果にしないようにしましょう。
標準的な表示・測定法は日本リハビリテーション医学会等の2022年改訂と修正情報を確認します。実習では安全上の制限と指導者の指示を先に確認し、測定できなかったことも記録します。
基本軸・移動軸・測定肢位を、対象の関節と運動方向に合わせて確認します。角度計の当て方だけでなく、どこを固定し、どの範囲の運動を測るかも必要です。
肩の挙上では肩甲帯の運動も関わるため、全ての隣接部位を動かさないことが正しいとは限りません。測定法が対象とする運動と、余分に混じった動きを区別してください。
疼痛、術後・骨折後の制限、脱臼のリスク、創部、安静度などを確認します。本人へ目的と動かす範囲を説明し、理解と同意を得ます。制限が不明なら、動かして確かめる前に指導者へ相談します。
段階 | 確認すること |
|---|---|
目的を決める | 何の動作・変化を確かめたいか |
方法を選ぶ | 自動か他動か、標準肢位で実施できるか |
条件を整える | 基本軸・移動軸、固定、左右、隣接関節の位置 |
測定する | 疼痛・抵抗・全身状態を確認し、許可された範囲で行う |
記録する | 値、条件、制限理由、観察事実を残す |
自動は本人が動かし、他動は外から動かす方法です。両者の値が違っても、直ちに一つの原因を確定できません。痛み、筋力、運動の理解、筋緊張などの影響を検討します。「最初に必ず他動で最大まで動かす」という一律の手順にはしません。
体幹伸展などが加わると、測ろうとしている運動と別の動きが混じり得ます。肩甲帯を含めて評価する場合と、別に条件を設定する場合を混同せず、用いる測定法に沿って確認します。
骨盤の動き、腰部、膝の位置で結果が変わります。骨盤後傾を見逃した値と、条件をそろえた値をそのまま比較しないことが重要です。制限因子は測定だけで断定せず、他の評価と合わせます。
骨盤の移動や股関節外旋が混じっていないか確認します。体幹や骨盤の固定を、安全にできる範囲でそろえます。標準肢位が取れなければ、その理由と変更条件を記録します。
膝伸展位と屈曲位では、二関節筋である腓腹筋の影響などが変わります。膝の屈曲は常に「除くべき代償」とは限らず、あえて測定条件として変える場合があります。足部の位置や荷重条件もそろえて比較します。
以下は記録方法を示す架空例で、参考可動域や治療目標を示す数値ではありません。
記録例 | 読み取れること |
|---|---|
右足関節背屈・他動5°、膝伸展位、同じ検者・肢位で測定 | 方法と条件を明示して比較できる |
同じ条件で後日10°。疼痛の訴えは前回より軽い | 条件と症状の変化を合わせて記録できる |
疼痛により途中で中止し、終末域は未評価 | 制限理由を示し、未測定を0°に置き換えない |
角度差だけで改善を確定せず、測定誤差、固定、力のかけ方、疼痛なども確認します。動作への影響は別途観察し、測定していない歩行の変化まで書き加えません。
標準測定法の基本軸・移動軸・肢位、二関節筋と隣接関節、参考値の意味を結び付けます。参考可動域は全員が達成すべき唯一の正常値ではありません。学校の指定教材や受験回の出題基準に合わせて確認してください。
ROMは動かせる範囲、MMTは条件を設定した筋力評価です。背屈可動域の制限と背屈筋力の低下は別の所見であり、同じ「足が動かない」とまとめないようにします。MMTのやり方も参照できます。
「右足関節背屈は他動・膝伸展位で5°であった。歩行中の下腿前傾との関連を検討するが、歩行の追加観察は未実施である」のように、結果と仮説、未確認を分けます。測定値だけから短縮した筋や動作の原因を確定しません。
リハビリ評価の基本で必要な評価を選び、PT実習レポートで結果と生活目標をつなげます。アスクレピアへ質問する場合も、実在患者の情報を入力せず、架空例の条件を整理して教材と照合してください。
安全にできる代替条件を指導者と検討し、どこを変更したか記録します。別の条件で得た値を、標準肢位の参考値や過去値と無条件に比較しません。
無理に終末域まで動かすことはしません。疼痛やリスクに応じて中止・変更し、未評価の範囲と理由を記録して相談します。
医療系学生向けの学習情報を編集・提供しています。
FIMは、運動13項目と認知5項目の計18項目を7〜1点で評価するADL指標です。合計点だけでなく、どの動作に、どの程度の人の援助が必要だったかを具体的に確認します。