尿アルブミン/クレアチニン比は、尿に漏れ出すアルブミンを尿中クレアチニンで補正した値です。糖尿病などで早期の腎障害を見つけ、CKDのリスクを評価するのに使います。尿蛋白が陰性でも上昇することがあり、eGFRと併せて確認します。
その他
アルブミンは血漿の主要な蛋白で、正常では糸球体の濾過障壁と尿細管での回収によって尿への排泄が抑えられています。アルブミン尿は腎障害を示す重要な指標で、心血管イベントや腎機能低下のリスクとも関わります。
随時尿でアルブミンとクレアチニンを測り、比を求めます。尿の濃さが日ごとに違っても比較しやすく、日常の経過観察で必ずしも24時間蓄尿は必要ありません。早朝尿が望ましい場合がありますが、随時尿でも測定できます。採尿条件をそろえると変化を解釈しやすくなります。
CKDのアルブミン尿区分は、A1が30mg/gCr未満、A2が30〜299mg/gCr、A3が300mg/gCr以上です。境界値は分類のための区切りで、リスクが30のところで突然出現するわけではありません。持続性と他の危険因子を合わせて評価します。
以前の「微量アルブミン尿」は主にA2に相当する用語です。尿の中に特別な小さいアルブミンがあるという意味ではありません。検査名に「微量」とあっても、腎臓や心血管リスクにとって重要な所見です。国内の保険適用や測定条件は診療上の対象によって異なるため、臨床での実施はその条件に従います。
eGFRとUACRは別の面を見ています。eGFRが保たれていても、アルブミン尿が持続すればCKDの診断に関わります。糖尿病の患者でUACRが高くても、すべてを糖尿病だけの影響と決めず、血尿や急速な腎機能変化、病歴などから他の腎疾患を考えます。
総蛋白を測るUPCRとは対象物質が異なり、単位もUPCRのg/gCrとUACRのmg/gCrで違うことが多いため、数値をそのまま比較できません。一般的な尿試験紙で蛋白陰性でも、少量のアルブミン排泄増加は見逃されることがあります。
学習例:尿アルブミン6mg/dL、尿Cr100mg/dL(0.1g/dL)なら、UACRは6÷0.1=60mg/gCrです。これはA2に当たりますが、一回の値だけで慢性の診断はしません。発熱、強い運動、尿路感染、月経血混入などの条件を確認し、必要に応じて再測定します。
筋肉量が少ない人では尿Crが少なくなり、比が高めに出ることがあります。濃度補正は便利ですが誤差をなくすものではありません。同じ患者での傾向と、血圧・eGFR・血糖などの変化を合わせて読みます。
糖尿病の腎障害は「蛋白が出て、その後eGFRが落ちる」という一つの経過だけではありません。アルブミン尿をあまり認めず腎機能が低下する人もいるため、UACRだけ正常なら腎臓は問題ない、とは言えません。
試験では、①UACRの分子はアルブミン、②分母は尿Cr、③単位はmg/gCr、④eGFRと併用、⑤異常の持続を確認、の五つを押さえます。治療後に値が下がれば好ましい経過の手がかりになりますが、単回の低下を治癒と同一視しません。
復習では、尿試験紙が陰性、UACRが60mg/gCr、eGFRが90という仮想例を考えます。尿試験紙だけなら見逃し得るアルブミン尿があり、濾過機能はまだ保たれているという二つの情報を両立して説明できれば、検査の使い分けが理解できます。
UACRの変化を評価するときは、同じ単位・同じ測定法かを確認します。mg/Lという尿中濃度だけの報告と、mg/gCrという比の報告は、そのまま同じグラフで比較できません。尿の濃さによる変動を補正するという目的を理解しておくと、報告書の見間違いを減らせます。
また、アルブミン尿は将来のリスクに関する連続的な情報です。分類がA2からA1へ移った場合も、直前と直後の差だけを大きな病態変化と決めるのではなく、複数回の傾向と血圧、血糖、治療内容などを確認します。境界値付近では変動が区分の変更として現れやすい点も知っておきます。
参考資料 米国NIDDK「Assess Urine Albumin」(2012) 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」第1章(2023)
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