急性心膜炎は、心膜に生じる急性の炎症であり、特発性(ウイルス性)が最も多い。体位によって変化する鋭い胸痛と、心電図における広範な誘導での「ST上昇(上に凹)」が特徴である。
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鋭い前胸部痛(深呼吸、咳嗽、仰向けで増悪。前かがみで軽減)。
発熱、全身倦怠感(先行する感冒症状)。
心タンポナーデを合併すると、血圧低下や呼吸困難をきたす。
心電図(最重要):『広範な誘導での凹状のST上昇』、PR低下、aVRでのST低下。
聴診:胸骨左縁での『心膜摩擦音』(雪を踏むような音)。
心エコー:心嚢液貯留(echo-free space)の有無を確認。
特発性・ウイルス性の場合:『安静』および『NSAIDs(アスピリンやロキソプロフェン)』の大量投与。再発予防に『コルヒチン』を併用することが推奨される。
原疾患の治療:尿毒症性なら透析、細菌性なら抗菌薬とドレナージ。
心タンポナーデ合併時:緊急の心嚢穿刺。
病態
ウイルス感染、心筋梗塞後(Dressler症候群)、尿毒症、悪性腫瘍などが原因となる。炎症により心膜同士が擦れ合うことで痛みが生じる。
試験・臨床での重要ポイント
胸痛の性状が鑑別の鍵。「仰向け(臥位)で悪化」し、「前かがみ(座位)で軽快」するのが絶対的キーワード。聴診では『心膜摩擦音(Pericardial friction rub)』を聴取する。
心電図変化が超重要:心筋梗塞(特定の誘導)と異なり、aVRを除く『広範な誘導での上向きに凹(concave)なST上昇』を認める。また、心房の炎症を反映して『PR部分の低下』が見られることもある。
覚え方・コツ
「急性心膜炎は『前かがみになると楽になる、広範囲のST上昇』!心筋梗塞と間違えやすいけど、どの誘導を見てもSTが上がっていたら(広範性)、あるいは『最近風邪をひいた』エピソードがあればこっち。治療のメインは『NSAIDs(ロキソプロフェンなど)』と、再発予防の『コルヒチン』!」
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。