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大動脈弁閉鎖不全症(AR)は、拡張期に大動脈弁の閉鎖が不完全となり、大動脈から左心室へ血液が逆流する疾患である。左室の著明な容量負荷により左室拡大(遠心性肥大)を来す。脈圧の増大による特有の身体所見(大脈・速脈など)や、拡張期雑音、Austin-Flint雑音が特徴である。CBTや医師国家試験では、ASとの身体所見の対比や、血管拡張薬が有効である病態生理が毎年問われる超頻出疾患である。
動悸(一回心拍出量の増加による強い心拍動の自覚)
息切れ、労作時呼吸困難(左心不全の進行による)
狭心痛(拡張期血圧低下により、冠動脈への血流が減少するため)
※慢性ARは無症状の期間が長く、心拡大が極限に達してから心不全を発症することが多い。一方、急性AR(感染性心内膜炎や大動脈解離による)は急激な肺水腫とショックを来す。
初期評価
著明な脈圧の増大(例:160/40 mmHg)や、特有の拡張期雑音、大脈・速脈を確認する。
検査
心エコーが確定診断および重症度評価に必須である。カラードプラ法での逆流ジェットの広がり、逆流フラクション(RF ≧ 50%で重症)、左室拡大(LVDd)や収縮能(EF)を評価する。胸部X線では「著明な左室拡大(大動脈型心)」を認める。心電図では左室肥大と、容量負荷所見(深いQ波、高いR波、陽性T波)を認める。
鑑別
大動脈弁狭窄症(AS:脈圧は小さく、収縮期雑音)、僧帽弁狭窄症(MS:Austin-Flint雑音との鑑別。MSは僧帽弁開放音を伴う)、動脈管開存症(PDA:連続性雑音、同じく脈圧が増大する)と鑑別する。
内科的治療
左室から大動脈へ血液を逃がしやすくし、逆流量を減らすため、「血管拡張薬(ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬など)」による後負荷軽減が有効である(※ASでは禁忌だった血管拡張薬が、ARでは推奨される点が重要)。
外科的治療(根本治療)
大動脈弁置換術(AVR):人工弁(機械弁または生体弁)への置換が標準治療である。
大動脈基部置換術(Bentall手術など):マルファン症候群や大動脈解離など、大動脈基部の拡張が原因の場合に行う。
※手術適応:有症状の重症AR、または無症状でも左室収縮能の低下(LVEF ≦ 50%)や著明な左室拡大(LVDs > 50mm)を認める場合。
病態
拡張期に血液が左室に逆流するため、大動脈の拡張期血圧は著しく低下する。一方、左室は逆流分を含めた大量の血液を次の収縮期に打ち出すため、一回心拍出量が増加し、収縮期血圧は上昇する。結果として「脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が著明に増大」する。
原因
弁自体の異常:先天性二尖弁、加齢による変性、感染性心内膜炎(急性ARの代表)、リウマチ熱など。
大動脈基部の拡大:マルファン症候群、大動脈解離、梅毒などにより、弁輪が引き伸ばされて閉鎖不全を起こす。
試験での重要ポイント
「胸骨左縁第3〜4肋間を最強点とする拡張期灌水様(かんすいよう)雑音(シューという音)」が基本。重症例では、逆流ジェットが僧帽弁前尖の開放を妨げるため、心尖部でMS様だが僧帽弁開放音(OS)を伴わない「Austin-Flint雑音(拡張期ランブル)」を聴取する点が超頻出。脈圧増大による「大脈・速脈(Water-hammer pulse)」「Quincke(クインケ)徴候(爪床の毛細血管拍動)」「Musset(ミュッセ)徴候(心拍に一致した頭部の点頭運動)」も画像や動画問題で狙われる。
覚え方・コツ
「ARは血が戻って左室パンパン(容量負荷)。脈圧がパカーンと開いて(脈圧増大)、ドクンドクンと激しい脈(大脈・速脈)。シュー(灌水様)と鳴るけど、フリント(Austin-Flint雑音)が聞こえたらMSと間違えるな(OSなし)!」と覚える。
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。