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大動脈弁狭窄症(AS)は、大動脈弁が硬化して開きにくくなり、左心室から大動脈への血流が妨げられる疾患である。加齢による石灰化が最多。進行すると左室の圧負荷から求心性肥大を来し、突然死のリスクが高まる。CBTや国試では、3大症状(狭心痛、失神、心不全)、遅脈・小脈、収縮期駆出性雑音(頸部放散)、エコーによる重症度評価が毎年問われる超頻出疾患である。
狭心痛(肥大した心筋の酸素需要増加と、冠動脈血流の相対的低下による)
失神、めまい(労作時に心拍出量を十分に増やせず、脳虚血に陥るため)
心不全症状(労作時呼吸困難、息切れ。進行すると起坐呼吸や肺水腫)
※症状が出現するまでは長期間無症状で経過するが、有症状化すると急速に死に至る突然死のリスクが高い。
初期評価
聴診で収縮期駆出性雑音と、II音の単一化(または奇異性分裂:A2が遅れるため)を確認する。頸動脈の触診で遅脈・小脈を確認する。
検査
心エコーが確定診断および重症度評価に必須である。大動脈弁の石灰化・可動性低下、弁を通過する血流速度の上昇(圧較差の増大)、弁口面積の狭小化、左室の求心性肥大を評価する。心電図では「左室肥大(V5, V6の高R波など)とストレイン型ST低下」を認める。胸部X線では、左室拡大は末期まで目立たないことが多いが、大動脈の「狭窄後拡張(post-stenotic dilatation)」を認める。
鑑別
肥大型閉塞性心筋症(HOCM:大動脈弁下部の狭窄。雑音は頸部に放散しにくい)、大動脈弁閉鎖不全症(AR:拡張期雑音、大脈・速脈)、僧帽弁閉鎖不全症(MR:全収縮期雑音、腋窩に放散)と鑑別する。
内科的治療(手術までの繋ぎ、または手術不能例)
心不全症状に対して利尿薬などを投与するが、過度の前負荷軽減(血管拡張薬や強力な利尿)は、左室から血液を押し出す力を奪い、重篤な低血圧・ショック・失神を招く恐れがあるため「慎重投与・原則禁忌」である点が極めて重要。
外科的治療(根本治療)
有症状の重症AS、あるいは無症状でも左室機能が低下している場合は、速やかに介入する。
SAVR(外科的大動脈弁置換術):開胸し、人工心肺を用いて生体弁または機械弁に置換する(標準治療)。
TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術):カテーテルを用いて人工弁を留置する。高齢者や開胸手術のハイリスク患者を中心に広く普及している。
病態
弁口面積が狭小化することで、左室から大動脈へ血液を駆出するために高い圧力が必要となる。これにより左室に「圧負荷」がかかり、代償性に左室壁が分厚くなる(求心性肥大)。進行すると心不全、肥大心筋への相対的な血流不足(心筋虚血)、運動時の脳血流低下(失神)を引き起こす。
原因
加齢に伴う大動脈弁の退行性変性(石灰化)が最も多い。若年〜中年者では先天性二尖弁(通常3枚の弁尖が2枚しかない)による早期の石灰化、過去にはリウマチ性が多かった。
試験での重要ポイント
「胸骨右縁第2肋間(または胸骨左縁第3肋間)を最強点とし、頸部へ放散する収縮期駆出性雑音(漸増漸減型)」は絶対暗記。脈診での「遅脈(立ち上がりが遅い)・小脈(振幅が小さい)」も頻出。症状の「ASの3徴(狭心痛、失神、心不全)」が出現すると予後が極めて悪く(特に心不全発症後の平均余命は約2年)、速やかな手術適応となる。エコーでの「最大血流速度 4.0m/s以上、平均圧較差 40mmHg以上、弁口面積 1.0cm²未満」の重症(Severe)基準も重要である。
覚え方・コツ
「AS(明日)は、遅く小さく(遅脈・小脈)、首へ飛ぶ(頸部放散)。胸が痛くて(狭心痛)、バタンと倒れ(失神)、息切れる(心不全)。エコーで圧較差40、スピード4、面積1を切ったらオペ適応!」と覚える。
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。