シャーガス病は、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)という原虫の感染によって引き起こされる熱帯感染症。中南米を中心に生息する「サシガメ(吸血昆虫)」の糞を介して感染し、数十年後に心筋症や消化管の「巨大化」をきたす致死的な疾患である。
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急性期:侵入部位の硬結(シャゴーマ)、片側性眼瞼浮腫(Romañaサイン)、発熱、肝脾腫、リンパ節腫脹。
慢性期(発症まで数十年):
①心筋障害:拡張型心筋症、不整脈、心不全、突然死。
②消化管障害:巨大結腸(高度の便秘、腸閉塞)、巨大食道(嚥下困難、嘔吐)。
問診:中南米(ラテンアメリカ)での生活歴、サシガメへの曝露歴、輸血歴。
急性期:末梢血塗抹標本での原虫(Trypanosoma cruzi)の証明、PCR検査。
慢性期:血清抗体検査(ELISA法など)。心エコー(心拡大、心尖部の菲薄化・瘤形成)、消化管造影検査(巨大結腸・食道の確認)。
抗原虫薬:『ベンズニダゾール』または『ニフルチモックス』を長期間内服する。急性期や早期の慢性期には有効だが、進行した慢性期の臓器障害には効果が乏しい。
慢性期の対症療法:不整脈に対するペースメーカーやICD(植込み型除細動器)の植込み、心不全治療。重篤な巨大結腸・巨大食道に対する外科的切除・再建術。
病態
サシガメが吸血する際に排泄する糞便中に原虫が含まれており、刺し傷や結膜の粘膜などをこすった際に体内に侵入する(※母子感染や輸血感染もある)。原虫は心筋や平滑筋(消化管)の細胞内で増殖し、組織を破壊する。
試験・臨床での重要ポイント
『中南米の滞在歴』が最大のヒントとなる。
急性期の特異的なサインとして、原虫が目から侵入した際に生じる片側のまぶたの腫れ『Romaña(ロマーニャ)サイン』が有名。
その後、数十年の無症候期(潜伏期間)を経て、約30%の患者で慢性期の重篤な合併症が出現する。それが『拡張型心筋症(心不全、致死的不整脈)』、『巨大結腸(重度の便秘)』、『巨大食道(嚥下障害)』の「3大・巨大化合併症」であり、これが国試の絶対的キーワードとなる。
覚え方・コツ
「シャーガス病は『中南米のサシガメが運ぶ、心臓と腸の巨大化病』!刺された目をこするとまぶたが腫れる(ロマーニャサイン)。そこから何十年も経ってから、心臓が風船のように広がって不整脈を起こし(拡張型心筋症)、腸と食道の神経が壊れてウンチやご飯が詰まって巨大化する(巨大結腸・巨大食道)!中南米帰りの心不全と便秘はコレだ!」
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