医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
胆石症は、胆汁の成分が結晶化して胆嚢や胆管内に結石(胆石)を形成し、通過障害や炎症を引き起こす疾患である。脂っこい食事の後に起こる激しい右季肋部痛や悪心・嘔吐を主症状とする。無症状のまま経過することも多いが、重症化すると急性胆管炎などの致死的な病態を招くため、CBT・国家試験ともに頻出の重要疾患である。
右季肋部痛(食後、とくに脂肪食後に増悪する)
悪心・嘔吐
右肩・背部への放散痛
無症状(サイレントストーンとして健診で偶然発見される)
黄疸・発熱(胆管に石が詰まり胆管炎を併発した場合)
初期評価
腹部の視診・触診を行い、右季肋部の圧痛の有無を確認する。また、右季肋部を圧迫しながら深呼吸させ、痛みで呼吸が止まるか(Murphy徴候)を評価し、胆嚢炎の合併を疑う。
検査
腹部超音波検査が第一選択である。音響陰影を伴う高エコー像と体位変換による結石の移動を確認する。総胆管結石を疑う場合はMRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)やDIC-CTが非常に有用である。
鑑別
胃・十二指腸潰瘍、急性膵炎、尿管結石、急性心筋梗塞(下壁梗塞)などの心窩部〜右季肋部痛を来す疾患と鑑別する。
初期対応
痛みが強い場合は絶飲食・輸液とし、鎮痛薬(NSAIDsや鎮痙薬)を投与して疼痛コントロールを行う。胆道感染を疑う場合はただちに血液培養を採取し、抗菌薬の投与を開始する。
根本治療
有症状の胆嚢結石に対しては、腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択となる。総胆管結石の場合は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)などを併用した採石術を行う。無症状の胆嚢結石は原則として経過観察とする。
病態
胆汁中のコレステロールやビリルビンが過飽和状態となり、胆嚢や胆管の中で結晶化して結石(胆石)を形成する。
原因
脂質異常症、肥満、加齢、女性ホルモンなどが結石形成のリスクとなる。とくにコレステロール結石は中高年の肥満女性に多い。
分類
結石の主成分により、コレステロール結石(最も多い)、黒色石(溶血性貧血や肝硬変に合併)、ビリルビンカルシウム石(胆道感染に合併)に大別される。
試験での重要ポイント
「脂肪の多い食事のあとの右季肋部痛」があればこの疾患を疑う。超音波検査における「アコースティック・シャドー(音響陰影)を伴う高エコー像」と「体位変換による結石の移動」は頻出である。急性胆嚢炎(Murphy徴候陽性)や急性胆管炎への移行を見逃さないことが最重要。鑑別でよく出るのは「胃・十二指腸潰瘍」や「尿管結石」である。
覚え方・コツ
「コレステロール結石の5F(Forty, Female, Fat, Fair, Fecund)」と「エコーで音響陰影(結石の後ろが影になる)」で覚える。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。