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深部静脈血栓症(DVT)は、主に下肢や骨盤内の深部静脈に血栓が形成される疾患である。血栓が遊離して肺に飛ぶと、致死的な肺血栓塞栓症(PTE)を引き起こす(両者を合わせて静脈血栓塞栓症:VTEと呼ぶ)。CBTや医師国家試験では、血栓形成の3大要因である「Virchow(ウィルヒョウ)の3徴」、片側性の下肢浮腫、およびエコー所見が毎年問われる超頻出疾患である。
片側性の下肢浮腫(両側性になることはまれ。心不全や腎不全による浮腫との重要な鑑別点)
下肢の疼痛、熱感、発赤(特にふくらはぎ)
表在静脈の怒張
※無症状のまま経過し、突然の呼吸困難(PTEの発症)で発症することも少なくない。
初期評価
片側性の下肢腫脹や疼痛、または突然の呼吸困難(PTE疑い)から本疾患を疑う。Wellsスコアなどを用いて臨床的確率を評価する。
検査
血液検査で「Dダイマー高値」を確認する(正常であればDVTをほぼ除外できる)。下肢静脈超音波検査(エコー)を実施し、静脈内の血栓エコー(高輝度)や「プローブによる圧排不能(non-compressibility)」を確認する。造影CTを実施して、骨盤内静脈から下肢静脈にかけての造影欠損(血栓)や、肺動脈内の血栓(PTEの合併)の有無を同時に評価することが多い。
鑑別
蜂窩織炎(感染・強い発赤を伴う)、下肢静脈瘤、心不全・腎不全による浮腫(通常は両側性)、リンパ浮腫と鑑別する。
初期対応・内科的治療
肺血栓塞栓症(PTE)への移行を防ぐため、診断後速やかに「抗凝固療法」を開始する。ヘパリンの持続静注から開始し、ワルファリンの内服へ移行するのが従来の方法であったが、近年は直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンなど)が第一選択として広く用いられている。
特殊治療
広範な血栓で症状が強い場合は、カテーテルによる血栓溶解療法(ウロキナーゼなど)や血栓吸引療法を検討する。抗凝固療法が禁忌(出血リスクが高い場合など)で、かつPTEの危険性が高い場合には、一時的に「下大静脈(IVC)フィルター」を留置して肺への血栓の飛散を防ぐ。
病態
静脈内で血液が凝固して血栓(赤色血栓)が形成され、静脈還流が阻害されることで末梢側に浮腫や疼痛が生じる。
原因(Virchowの3徴)
血栓形成の三大要因として、①血流の停滞(長期臥床、長時間の座位=エコノミークラス症候群、ギプス固定など)、②静脈壁(血管内皮)の障害(手術、外傷、カテーテル挿入など)、③血液凝固能の亢進(悪性腫瘍、妊娠・出産、経口避妊薬/低用量ピルの内服、脱水など)が挙げられる。これらが重なる周術期や災害の避難所生活などで多発する。
試験での重要ポイント
「長期臥床後や手術後の患者における、突然の片側性下肢浮腫と疼痛」のエピソードがあれば本疾患を強く疑う。身体所見として、足関節を背屈させると腓腹筋(ふくらはぎ)に痛みが生じる「Homan(ホーマン)徴候」や、ふくらはぎを圧迫すると痛む「Lowenberg(ローウェンバーグ)徴候」が有名。検査では「Dダイマーの上昇」が除外診断に有用であり、確定診断には「下肢静脈エコー」が用いられる。エコーでの「プローブで圧迫しても血管が潰れない(圧排不能)」所見は画像問題の定番である。
覚え方・コツ
「DVTは、片足パンパン(片側性浮腫)、ホーマン痛い。ウィルヒョウ(Virchow)の3徴(停滞・壁障害・ドロドロ)で血栓ができ、肺に飛んだらPTE(エコノミー症候群)」と覚える。
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