医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
せん妄は、身体的要因や薬剤などを原因として「急激」に発症する、軽度〜中等度の意識障害(見当識障害)と幻覚・妄想を伴う状態である。夕方から夜間に悪化しやすい。CBTや国試では、不可逆的で慢性進行性の認知症との明確な鑑別、および原因の除去と抗精神病薬の少量投与が超頻出である。
見当識障害(時間や場所がわからなくなる)
意識混濁(注意力や集中力の低下、ボーッとする)
幻覚(特に生々しい幻視)、錯覚
精神運動興奮(不穏、点滴を抜去する、暴れる:過活動型)または傾眠(活動性が低下する:低活動型)
日内変動(夕方から夜間に症状が悪化しやすい=夕暮れ症候群・夜間せん妄)
初期評価
急激な精神症状の変化と見当識障害から疑う。まず「薬剤性(ベンゾジアゼピン系、抗ヒスタミン薬など)」と「身体疾患(感染症、電解質異常、低酸素など)」の検索を行う。
鑑別
認知症(慢性・緩徐進行性、意識は清明、不可逆的)、うつ病(せん妄の低活動型と誤認されやすい)、統合失調症(意識清明で幻聴主体)。
治療
①原因の除去:不要な薬剤の中止、感染症の治療、脱水の補正など、背景にある器質的・身体的要因の治療が最優先。
②環境調整:昼夜のリズムをつける(昼は明るく、夜は暗く静かに)、カレンダーや時計を置く(見当識の確保)、家族の付き添いによる安心感の提供。
③薬物療法:興奮や幻覚妄想が強く危険な場合は、対症療法として「非定型抗精神病薬(リスペリドン、クエチアピンなど)」の少量投与を行う(ベンゾジアゼピン系睡眠薬はせん妄を悪化させるため原則避ける)。
病態
感染症(肺炎や尿路感染)、脱水、手術侵襲、環境変化(入院)、薬剤(睡眠薬や抗コリン薬)などのストレスによって、脳の機能が一時的に破綻して生じる「急性脳不全」の状態。
試験での重要ポイント
「入院中の高齢者が、夕方〜夜になると突然暴れ出し、つじつまの合わないことを言う(『夜間せん妄』、『日内変動』)」というエピソードが超定番。「壁に虫が這っている」などの『幻視』を伴うことが多い。最大の鑑別対象は『認知症』である。せん妄は『数時間〜数日で急激に発症』し、『意識が混濁(ボーッとしている)』し、『原因を取り除けば治る(可逆性)』のに対し、認知症は数ヶ月〜数年単位でゆっくり進行し、意識は清明で、治らない(不可逆的)という違いが必ず問われる。治療の基本は、点滴の管を抜くからといって身体抑制するのではなく『原因(薬や感染)の除去』である。
覚え方・コツ
「せん妄は、入院中のおじいちゃんが夜中に急にボケる(急激発症・夜間悪化)!虫が見える(幻視)、意識がボーッとしている(意識障害)。原因(クスリ、感染症、脱水)を取り除けば元に戻る(可逆性)!ゆっくり進行して意識ハッキリの認知症とは全く違う!」
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