医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
線維筋痛症は、全身の広範な慢性疼痛を主症状とし、不眠、疲労感、うつ状態などの多彩な精神・神経症状を伴う原因不明の疾患である。中年女性に好発する。血液検査や画像検査では明らかな炎症所見や器質的異常を認めないのが特徴である。CBTや医師国家試験では、リウマチ性多発筋痛症(PMR)などとの鑑別(CRPや赤沈が正常である点)や、プレガバリン、SNRIを用いた薬物療法が毎年問われる頻出疾患である。
全身の広範な疼痛(3ヶ月以上持続する。日によって痛む部位が移動することもある)
著明な疲労感、全身倦怠感
睡眠障害(不眠、熟眠障害、起床時の疲労感)
精神症状(抑うつ状態、不安感、認知機能の低下:brain fog)
自律神経症状(過敏性腸症候群:IBS、頻尿、頭痛などの合併が多い)
初期評価
中年女性の「原因不明の全身痛」と「不眠・疲労」の訴えから疑う。関節の明らかな腫脹や熱感、変形を伴わないことを確認する。
検査(除外診断が必須)
血液検査(CRP、血沈、RF、抗CCP抗体、抗核抗体、CK、甲状腺機能など)および画像検査(X線など)を実施し、すべて「異常なし(正常範囲)」であることを確認する。
診断
ACRの診断基準に基づき、全身の痛みの広がり(WPI)と身体症状(疲労、睡眠障害、認知機能障害など)の重症度スコア(SSスコア)を用いて総合的に診断する。
鑑別
関節リウマチ(RA:関節破壊、抗CCP抗体陽性、CRP上昇)、リウマチ性多発筋痛症(PMR:高齢者、体幹近位部の痛み、血沈・CRP著増)、甲状腺機能低下症、多発性筋炎、心身症と鑑別する。
初期対応(患者教育)
患者の「痛み」の訴えに共感・傾聴し、生命を脅かす病気や進行性の関節破壊を来す病気ではないことを説明して安心させる。
薬物療法
第一選択薬は、神経障害性疼痛治療薬である「プレガバリン」や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)である「デュロキセチン」である。痛みの程度に応じてアセトアミノフェンやトラマドール(弱オピオイド)を併用する。※NSAIDsやステロイドは無効であるため漫然と使用しない。
非薬物療法(集学的治療)
適度な有酸素運動(ウォーキングや水中歩行など)が痛みの軽減に極めて有効である。また、認知行動療法(CBT)や睡眠衛生指導などを並行して行う。
病態
末梢の関節や筋肉に炎症や組織損傷は存在せず、中枢神経系(脳・脊髄)における「痛みの感作(疼痛閾値の低下:痛覚過敏)」が原因と考えられている。ストレスや心理的・社会的要因が発症や増悪に深く関与する。
試験での重要ポイント
「中年女性の全身の痛み+不眠・抑うつ」のエピソードがあれば本疾患を疑う。最大のポイントは、「全身が激しく痛むのに、CRP、赤沈、抗核抗体、抗CCP抗体、CKなどの検査所見が【すべて正常】」であること。画像検査でも異常はない。圧痛点(tender points)の確認(18か所中11か所以上で陽性)が有名だが、近年は広範囲疼痛指数(WPI)と症状重症度(SS)スコアを用いた米国リウマチ学会(ACR)の診断基準が重視されている。治療において、「NSAIDsや副腎皮質ステロイドは原則として無効」であり、神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン)や抗うつ薬(デュロキセチンなど)が第一選択となる点が頻出である。
覚え方・コツ
「線維(センイ)筋痛症は、炎症ゼロ(CRP正常)で全身痛い。眠れぬミセス(中年女性・不眠)の痛む神経を、リリカ(プレガバリン)とサインバルタ(SNRI)でなだめる」と覚える。
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抗リン脂質抗体症候群(APS)は、自己抗体である抗リン脂質抗体が陽性となり、動静脈の血栓症や習慣流産(不育症)を引き起こす自己免疫疾患である。体内で血栓ができやすいにもかかわらず、検査(in vitro)ではAPTTが延長するのが特徴的な引っかけである。
脊柱管狭窄症は、加齢に伴う骨や靱帯の変形により脊柱管が狭くなり、中の馬尾神経や神経根が慢性的に圧迫される疾患である。高齢者に多く、歩行により下肢痛・しびれが出現し、休むと改善する「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が特徴的である。
椎間板ヘルニアは、椎体間のクッションである椎間板の髄核が線維輪を突き破って脱出し、脊髄や神経根を圧迫する疾患である。若年〜壮年の男性に多く、腰痛とともに片側の激しい下肢放散痛(坐骨神経痛)やしびれをきたす。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多彩な自己抗体(特に抗dsDNA抗体)が産生され、全身の皮膚、関節、腎臓、中枢神経などに炎症をきたす多臓器疾患である。20〜40代の女性に好発し、Ⅲ型アレルギーによる免疫複合体の沈着(ループス腎炎など)が病態の核心となる。