医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
前頭側頭型認知症(FTD)は、大脳の前頭葉および側頭葉の限局性萎縮を特徴とする神経変性疾患群(前頭側頭葉変性症:FTLD)の代表的疾患である。ピック病(Pick病)はその古典的な亜型である。初期から記憶障害よりも人格変化、社会性の欠如、常同行動、言語障害が目立つ。CBTや医師国家試験では、特異な異常行動のエピソードと画像所見(ナイフの刃状萎縮)の組み合わせが超頻出である。
人格・行動の変化(脱抑制):反社会的行動(万引き、痴漢など)、礼節の喪失、自己中心的で周囲の状況を気にしない行動(立ち去り行動)。
常同行動:同じコースの散歩(周遊)、同じ言葉を繰り返す(滞続言語)、手を叩き続けるなどの反復行動。
食行動異常:過食、甘いものや特定の食べ物への異常な執着、異食。
アパシー(自発性の低下):一日中ボーッとしている(うつ病と誤診されやすい)。
言語障害:言葉の意味がわからなくなる(語義失語)、エコロラリア(反響言語:おうむ返し)、末期には無言・無動となる。
※初期には記憶障害(物忘れ)や空間把握能力の低下は目立たない。
初期評価
家族から「最近、性格が急に変わった」「怒りっぽくなった」「変なこだわりがある」といったエピソードを聴取する。改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などでは、初期は点数が比較的保たれることがある。
検査
頭部MRI/CTを実施し、前頭葉および側頭葉前部に「限局した強い萎縮(ナイフの刃状萎縮)」を確認する(頭頂葉や後頭葉は保たれる)。脳血流SPECTで同部位の血流低下を確認する。
鑑別
アルツハイマー型認知症(記憶障害が先行し、海馬・頭頂葉の萎縮が目立つ)、レビー小体型認知症(幻視、パーキンソニズム)、うつ病(アパシーが似る)、統合失調症と鑑別する。
根本治療
現在、異常蛋白の蓄積を食い止めたり萎縮を回復させる根本的な治療薬は存在しない。
対症療法・環境調整
異常行動への対応:患者の「こだわり(常同行動)」を無理に止めると激しく抵抗するため、危険がない限りは行動を許容する環境づくり(デイサービスでの専用コースの設定など)が基本となる。家族への疾患教育(性格が悪くなったのではなく脳の病気であるという理解)が極めて重要。
薬物療法:易怒性や常同行動に対して、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や、ごく少量の非定型抗精神病薬を使用することがあるが、保険適用外であり慎重な投与が必要。
病態
タウ蛋白(ピック球など)やTDP-43などの異常蛋白が大脳皮質の前頭葉と側頭葉前極に蓄積し、同部位の神経細胞が脱落・萎縮する。前頭葉(理性、社会性、意欲を司る)の機能低下により「脱抑制・アパシー」が、側頭葉(言語、意味記憶を司る)の機能低下により「意味性認知症」が生じる。
試験での重要ポイント
症例問題のキーワードとして「周囲に無頓着(我が道を行く)」「急に怒り出す」「万引きをする(規範意識の欠如:脱抑制)」「毎日決まった時刻に同じ道しか散歩しない(時刻表通りの生活:常同行動)」「甘いものばかり異常に食べる(食行動異常)」が提示されれば、迷わず本疾患を選ぶ。画像所見では、頭部MRIやCTで『前頭葉と側頭葉の極めて強い限局性の萎縮(ナイフの刃状萎縮:knife-blade atrophy)』を確認する。SPECTでも同部位の血流低下を認める。また、アルツハイマー型認知症(AD)の治療薬である「コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)」は効果がないだけでなく、易怒性や興奮を悪化させる恐れがあるため使用しない点も重要。
覚え方・コツ
「FTD(ピック病)は、前(前頭葉)と横(側頭葉)がペラペラ(ナイフの刃)。物忘れより性格崩壊。マイペースで万引き(脱抑制)、毎日同じ散歩(常同行動)、甘いものドカ食い(食行動異常)!」と覚える。
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。