医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
過敏性肺炎は、カビや鳥の排泄物などの有機粉塵を繰り返し吸入することで、肺胞や間質にアレルギー反応が生じる間質性肺炎である。日本では夏に古い木造家屋で発症する「夏型過敏性肺炎」が最も多い。CBTや医師国家試験の呼吸器分野において、問診による抗原の特定と環境からの隔離が毎年問われる超頻出疾患である。
発熱
乾性咳嗽(痰を伴わない空咳)
労作時呼吸困難(動いた時の息切れ)
全身倦怠感
※抗原に曝露されてから数時間(4〜6時間程度)で症状が出現・増悪し、抗原から離れると数日で自然軽快する変動性が特徴である。
初期評価
問診が極めて重要であり、居住環境(古い木造家屋、日当たり、水回りのカビ)、ペット(インコや鳩などの飼育歴、羽毛布団の使用)、職業、発症の季節性、場所による症状の変動(自宅で悪化するか)を詳細に聴取する。聴診で捻髪音(fine crackles)を評価する。
検査
血液検査で間質性肺炎マーカー(KL-6、SP-D)の上昇、特異的抗体(抗トリコスポロン抗体など)の陽性を確認する。胸部高分解能CT(HRCT)で「びまん性のすりガラス影」や「小葉中心性粒状影」を認める。気管支肺胞洗浄(BAL)でリンパ球割合の増加とCD4/CD8比の低下(1.0以下)を確認する。環境誘発試験(自宅に戻ると症状・検査所見が悪化)も診断的価値が高い。
鑑別
特発性間質性肺炎(IPFなど:環境による変動なし、BALで好中球・好酸球増多)、サルコイドーシス(BALでCD4/CD8比上昇)、マイコプラズマ肺炎、オウム病と鑑別する。
初期対応
最も重要かつ第一の治療は「抗原からの隔離」である。直ちに入院させるか、転居・自宅の清掃・カビの除去、鳥の飼育中止・羽毛布団の廃棄を指導する。
根本治療
急性の場合は抗原から隔離するだけで症状は自然軽快することが多い。しかし、呼吸困難や低酸素血症などの症状が強い場合や、改善が乏しい場合には副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)の全身投与を行う。慢性化して肺の線維化が進行した症例は難治性であり、抗線維化薬(ニンテダニブなど)の使用を検討する。
病態
吸入された抗原に対するIII型およびIV型アレルギー反応により、肺の間質にリンパ球の浸潤や肉芽腫形成が起こる。
原因
日本ではTrichosporon(トリコスポロン:室内の水回りに発生するカビ)を原因とする「夏型過敏性肺炎」が約7割を占める。他にも鳥の排泄物・羽毛による「鳥飼病」や、カビた干し草による「農夫肺」などがある。
分類
急性・亜急性型と、抗原曝露が長期間続き肺の線維化(蜂巣肺など)を来した慢性型に分類される。
試験での重要ポイント
「夏に古い木造住宅で発症(または帰宅すると悪化)し、入院すると軽快する」というエピソードがあれば夏型過敏性肺炎を強く疑う。気管支肺胞洗浄(BAL)における「リンパ球の著増」と「CD4/CD8比の低下(CD8優位)」は超頻出。第一の治療がステロイドではなく「抗原からの隔離」である点も最重要である。鑑別でよく出るのは「特発性間質性肺炎(特発性肺線維症:IPF)」や、CD4優位となる「サルコイドーシス」である。
覚え方・コツ
「過敏性肺炎は、夏にカビ(トリコ)吸ってゲホゲホ、入院で治る。BALではCD8(ハチ)が飛ぶ(CD4/CD8低下)」と覚える。
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