医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
伝染性膿痂疹(とびひ)は、主に小児の夏期に好発する皮膚の細菌感染症である。虫刺されや湿疹の掻き壊しから細菌が侵入し、水疱や痂皮を形成して全身に拡大する。CBTや医師国家試験では、原因菌(黄色ブドウ球菌とA群溶連菌)による病型の違いや、溶連菌感染後の急性糸球体腎炎への注意、ステロイド外用の禁忌が頻出の重要疾患である。
水疱、膿疱(すぐ破れてジュクジュクしたびらんになる。主に水疱性)
厚い痂皮(ハチミツ色のカサブタ。主に結痂性)
強いそう痒感(かゆみにより掻破し、さらに拡大する)
周囲の紅斑
発熱、所属リンパ節腫脹、咽頭痛(結痂性でみられやすい)
初期評価
夏場の小児で、掻破痕に伴って急速に拡大する水疱・びらんという病歴から臨床的に診断する。アトピー性皮膚炎などの基礎疾患の有無を確認する。
検査
通常は視診で診断するが、原因菌の特定およびMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの薬剤耐性菌の確認のために、水疱内容物やびらん面の「細菌培養・同定・薬剤感受性試験」を行う。結痂性膿痂疹で溶連菌感染が疑われる場合は、後日「尿検査」を行い、血尿や蛋白尿(急性糸球体腎炎のサイン)がないかを確認する。
鑑別
鑑別でよく出るのは「水痘(水ぼうそう:全身の様々な段階の皮疹、頭皮にも出る)」、「手足口病(手・足・口に限局、ウイルス性)」、「カポジ水痘様発疹症(アトピー患者に単純ヘルペスウイルスが感染し、臍窩をもつ水疱が多発する)」である。
初期対応
患部を石鹸でよく泡立てて優しく洗い、浸出液や痂皮を洗い流して清潔を保つことが極めて重要である(入浴はシャワー浴とする)。タオルは家族と共用しないよう指導する。
根本治療
第一選択は「抗菌薬」である。病変が限局している軽症例では、抗菌薬含有軟膏(フシジン酸、ナジフロキサシンなど)の外用を行う。病変が広範囲な場合や結痂性(溶連菌)の場合は、セフェム系やペニシリン系などの「抗菌薬の内服(3〜7日間)」を行う。かゆみが強い場合は、掻破による拡大を防ぐために抗ヒスタミン薬を併用する。ステロイド軟膏の単独外用は禁忌である。
病態
虫刺されやアトピー性皮膚炎などの湿疹を掻き壊した微小な傷から細菌が侵入・増殖し、表皮を破壊する毒素(表皮剥脱毒素など)を産生することで水疱やびらんを形成する。掻いた手で他の部位を触ることで、自家接種により火事の「飛び火」のように急速に全身へ広がる。
原因と分類
原因菌により以下の2つの病型に大別される。
【水疱性膿痂疹】:夏場に乳幼児に好発する。原因菌は『黄色ブドウ球菌』であり、産生する表皮剥脱毒素(exfoliative toxin)によって薄く破れやすい水疱を形成する。
【結痂性(痂皮性)膿痂疹】:季節・年齢を問わず発症する。原因菌は『A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)』が多く、厚いカサブタ(痂皮)を形成し、発熱やリンパ節腫脹を伴いやすい。
試験での重要ポイント
「夏の小児」「虫刺されの掻き壊しから広がる水疱」というエピソードが超定番である。原因菌による違いが頻出であり、水疱性は『黄色ブドウ球菌』、結痂性は『A群溶連菌』である。特に溶連菌が原因の場合、感染の1〜2週間後に『急性糸球体腎炎(AGN)』を発症するリスクがあるため、尿検査によるフォローアップが必要な点が絶対暗記キーワードである。また、重症の黄色ブドウ球菌感染では、毒素が血流に乗って全身の表皮が剥離する『ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)』に移行することに注意する。治療において、免疫を抑制するステロイド外用薬の単独使用は感染を悪化させるため禁忌である。
覚え方・コツ
「とびひは夏の子供のブドウ球菌(水疱性)と、カサブタになる溶連菌(結痂性)。溶連菌は後から腎臓(急性糸球体腎炎)にくるから尿検査!ステロイド単独は火に油!」
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TRAPSは、TNF(腫瘍壊死因子)受容体の遺伝子変異により、病原体の感染がないのに自然免疫が暴走して長期間の発熱を繰り返す「自己炎症性疾患」。1週間以上続く発熱、遊走性の筋肉痛、眼周囲の浮腫を特徴とする。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。