虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。
最終更新日: 2026年5月31日
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。
突然の腹痛(左下腹部痛が多い)。
悪心、嘔吐、下痢。
下血(鮮血便〜暗赤色便:腹痛の後に見られる)。
腹部エコー・CT:区域性の著明な大腸壁の肥厚(主に左側結腸)。
大腸内視鏡検査:発赤、浮腫、出血、びらん、粘膜の剥離、および特徴的な『縦走潰瘍』。※腸管穿孔のリスクがあるため、送気を控えめに慎重に行う。
注腸造影X線:『母指圧痕像(thumbprinting)』。
保存的加療(大部分の一過性型):『絶食、補液(点滴)、腸管安静』。感染予防のための抗菌薬投与。数日〜1週間程度で症状は軽快する。
※狭窄型や壊死型(全層性虚血)に進行・移行した稀なケースでは、腸管切除等の外科的治療が必要となる。
病態
動脈硬化や便秘による腸管内圧の上昇(いきみ)が誘因となり、血流の乏しい部位(特に脾彎曲部から下行結腸、S状結腸にかけての『左側結腸』)の粘膜が虚血に陥る。腸間膜動脈閉塞症(SMA塞栓など)と異なり、太い血管が詰まるわけではなく微小な血流障害である。
試験・臨床での重要ポイント
病歴が非常に典型的。『便秘気味の高齢女性』が『トイレでいきんだ後』などに、『急な左下腹部痛と下痢』をきたし、その後に『鮮血便』が出るのが定番のエピソード。
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①注腸X線(またはCT):粘膜下の浮腫により腸管壁が内側にボコボコと出っ張る『母指圧痕像(thumbprinting:親指で押したような跡)』。
②大腸内視鏡検査:腸管の長軸方向に沿った『縦走潰瘍』、区域性の発赤・浮腫(右側は正常で左側だけやられる)。
覚え方・コツ
「虚血性腸炎は『便秘のオバアチャンが、いきんで腸が酸欠になる病気』!場所は左側(下行結腸)が多い。急にお腹が痛くなって、赤い血のウンチ(鮮血便)が出る。レントゲンやCTで見ると、腸の壁が腫れて親指の跡(thumbprinting)みたいに見える。太い血管が詰まって腸が腐る重病(SMA閉塞)とは違って、数日絶食して点滴すれば自然に治る優しい病気だ!」
下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
肝内胆管癌は、肝臓内の胆管上皮から発生する悪性腫瘍(原発性肝癌の約5〜10%)。肝細胞癌(HCC)と異なり、ウイルス性肝炎や肝硬変を背景としないことが多く、間質が豊富でリンパ節転移をきたしやすいのが特徴である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。