医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
弛緩出血は、分娩第3期(胎盤娩出)以降に子宮筋の収縮不良により大量出血をきたす状態であり、産後出血の最多の原因である。CBTや国試では、軟らかく巨大な子宮(子宮底が高い)の所見と、子宮底輪状マッサージや双手圧迫、子宮収縮薬の投与という初期対応が超頻出である。
胎盤娩出後(分娩第3期以降)の持続的・多量の暗赤色出血
出血性ショック症状(血圧低下、頻脈、冷汗、顔面蒼白)
触診で子宮底が軟らかく、輪郭が不明瞭
子宮底の高さが通常(臍下2〜3横指)より高い(臍高〜臍上)
初期評価
産後の大量出血に対し、まず腹部を触診して「子宮の硬さと高さ」を確認し、弛緩出血か産道裂傷(頸管裂傷など)かを鑑別する。胎盤の欠損がないか(胎盤遺残)も確認する。
検査
直ちにバイタルサインを測定し、ショックインデックス(SI=心拍数÷収縮期血圧)を計算する(SI≧1.0で約1000mL、1.5で約1500mLの出血と推定)。血液検査で貧血の進行やDICへの移行を評価する。
初期対応(物理的圧迫)
直ちに太い静脈ルートを確保し、急速輸液を開始する。と同時に『子宮底輪状マッサージ(腹壁上から子宮底を輪状にマッサージして収縮を促す)』や、片手を腟内・もう一方の手を腹壁に置いて子宮を挟み込む『双手圧迫法』を行う。膀胱充満は子宮収縮を妨げるため導尿を行う。
薬物・外科的治療
『子宮収縮薬(オキシトシン、メチルエルゴメトリン)』の点滴静注・筋注を行う。これらでコントロールできない重症例では、子宮内バルーンタンポナーデ、子宮動脈塞栓術(UAE)、最終手段としての「子宮全摘出術」を考慮し、大量輸血(RCC、FFP)を行う。
病態
正常な分娩では、胎盤が剥がれた後の子宮筋が強力に収縮することで、筋層を走る血管が物理的に締め付けられて止血される(生きた結紮糸)。弛緩出血ではこの収縮が弱いため、血管が開いたままになり大量出血が持続する。
原因とリスク因子
多胎妊娠、羊水過多、巨大児(子宮の過度な伸展)、遷延分娩(子宮筋の疲労)、急速遂行、前置胎盤など。
試験での重要ポイント
「胎盤娩出後」に「持続する大量出血(ダラダラと出血が続く)」というエピソードが定番。内診・触診所見が極めて重要であり、正常なら硬く触れる子宮底が『軟らかく(軟部腫瘤のように)触れ』、『子宮底の高さが臍の高さ(臍高)やそれ以上と高い』ことが決定的なサインである。頸管裂傷(子宮は硬く収縮しているが鮮血が出る)や胎盤遺残との鑑別が必要。治療の「まず行うこと」として『子宮底輪状マッサージ』や『双手圧迫法』が頻出。
覚え方・コツ
「弛緩出血は、産後の子宮がフニャフニャで血が止まらない状態。お腹を触ると『子宮底が高くて軟らかい』!まずは外からお腹を揉む(輪状マッサージ)、ダメなら中と外から挟み込む(双手圧迫)、そしてオキシトシン(収縮薬)の点滴!」
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胎児発育不全(FGR)は、超音波による胎児推定体重が基準値(-1.5 SD以下)を下回り、胎児が正常に発育していない状態。原因により、頭も体も小さい「均衡型」と、体だけが痩せ細る「不均衡型」に大別され、管理方針が異なる。
常位胎盤早期剥離は、正常な位置に付着している胎盤が、胎児の娩出「前」に子宮壁から剥がれ落ちる致死的疾患。母体は大量出血とDIC(播種性血管内凝固症候群)に陥り、胎児は酸素供給が絶たれて急速に仮死・胎児死亡に至る。
異所性妊娠は、受精卵が子宮腔以外の場所(約90%以上が卵管膨大部)に着床する異常妊娠。破裂すると腹腔内への大出血を引き起こし、出血性ショックで母体の命に関わる産婦人科領域の最重要救急疾患である。
羊水は主に「胎児の尿」で作られ、「胎児が嚥下(飲み込む)して消化管から吸収する」ことで一定の量が保たれている。このサイクルの破綻により、羊水インデックス(AFI)が24cm以上を「羊水過多」、5cm以下を「羊水過少」と定義する。