医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
一過性脳虚血発作(TIA)は、脳血管の一過性の閉塞により局所神経症状が出現するが、24時間以内(多くは数分〜数十分)に完全に消失する病態である。脳梗塞の極めて重要な前兆(警告発作)であり、発症直後(特に48時間以内)の脳梗塞移行リスクが高い。CBTや医師国家試験では、一過性黒内障のエピソード、ABCD2スコアによるリスク評価、および急性期の抗血小板療法が超頻出である。
運動障害:片麻痺(顔面を含む半身の筋力低下)
感覚障害:半身のしびれ、感覚鈍麻
言語障害:失語(言葉が出ない、理解できない)、構音障害(ろれつが回らない)
視覚障害:一過性黒内障(片眼の視力の一過性喪失)、同名半盲
※椎骨脳底動脈系のTIAの場合:めまい、複視、嚥下障害、運動失調などを呈する。
※これらの症状が突発し、通常は数分〜1時間以内で完全に消失する。
初期評価
症状が既に消失していても、「いつ、どのような症状が、何分間続いたか」を詳細に聴取し、ABCD2スコアを計算する。
検査
直ちに頭部MRI(DWI)を実施し、急性期脳梗塞(高信号)が存在しないことを確認する(高信号があれば、症状が消失していても定義上は脳梗塞として扱う)。原因検索のため、頸動脈エコー(内頸動脈のプラークや狭窄の有無)、MRA、心電図・ホルター心電図(心房細動の有無)を速やかに行う。
鑑別
てんかん(トッドの麻痺)、片頭痛の前兆(閃輝暗点など)、低血糖、メニエール病(めまいのみの場合)と鑑別する。
急性期治療(脳梗塞の発症予防)
高リスク(ABCD2スコア4点以上など)の場合は緊急入院とする。非心原性(頸動脈狭窄など)が疑われる場合は、直ちに抗血小板薬(アスピリンとクロピドグレルの2剤併用:DAPT)を短期間(21日間程度)開始し、その後単剤へ移行する。心原性(心房細動など)が疑われる場合は、抗凝固療法(DOACやワルファリン)を開始する。
根本治療(外科的介入)
頸動脈エコーやMRAで高度の内頸動脈狭窄(通常50%以上で有症状)が見つかった場合は、脳梗塞の再発予防として「頸動脈内膜剥離術(CEA)」や「頸動脈ステント留置術(CAS)」を検討する。
病態
心臓や頸動脈のプラークから剥がれ落ちた微小な血栓(マイクロエンボリ)が脳血管を一時的に閉塞するが、組織が完全に壊死(梗塞)する前に血栓が溶解・移動し、血流が再開することで症状が消失する。近年は「時間(24時間以内)」よりも、MRI(DWI)等で「急性期梗塞巣を認めないこと」を重視する組織学的定義(Tissue-based definition)が主流になりつつある。
試験での重要ポイント
内頸動脈系のTIAとして、眼動脈の一過性虚血による「一過性黒内障(片方の目にカーテンが下りたように急に見えなくなり、数分で回復する)」が極めてよく問われる。脳梗塞への移行リスク評価ツールである「ABCD2スコア」の項目(年齢60歳以上、血圧140/90以上、片麻痺[2点]・言語障害[1点]、持続時間60分以上[2点]・10-59分[1点]、糖尿病)の暗記は必須。合計点が高い(特に4点以上)場合は、発症から48時間以内の脳梗塞発症リスクが高いため、緊急入院させてDAPT(アスピリン+クロピドグレル)などの抗血小板療法を直ちに開始する。
覚え方・コツ
「TIAは脳梗塞の嵐の前の静けさ。片目が見えなくなる(一過性黒内障)のは内頸動脈のゴミ。リスクは『ABCD2(年齢、血圧、症状、時間、糖尿病)』で測り、点が高ければ即入院して血をサラサラに(抗血小板薬)!」と覚える。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。