最終更新日: 2026年10月27日
細菌の細胞壁合成を阻害する薬です。全身感染に用いる点滴と、CDIで腸管内に作用させる経口投与を分けて理解します。
塩酸バンコマイシン
グリコペプチド系抗菌薬
細胞壁の前駆体に結合し、ペプチドグリカン合成を妨げます。主にグラム陽性菌を対象とし、グラム陰性菌全般への治療を本剤だけで満たすことはできません。感受性、感染部位、耐性の可能性を確認します。
点滴製剤はMRSAなど感受性菌による適応感染症で用います。経口製剤は、CDIなどで腸管内に作用させる目的があり、投与経路により役割が異なります。経口投与を全身の菌血症治療の代用にしたり、点滴中だからCDIも治療済みと考えたりしません。適応と選択は各電子添文とガイドラインで確認します。
腎障害、聴覚障害、重い皮膚障害、血球減少などに注意します。点滴では急速投与に関連する潮紅や血圧低下などの反応があり、規定の速度で投与します。症状が出たときは過敏反応を含め評価し、自己判断で続行しません。腎機能や必要な血中濃度の確認も重要です。
他の腎毒性・聴覚毒性を持つ薬剤などとの併用に注意します。点滴の投与設計は腎機能やTDMなどを踏まえ、全患者に同じ量を固定しません。治療域を考える際は感染部位、菌、測定方法、施設手順を確認します。
本剤成分への過敏症の既往が禁忌です。腎機能、聴覚へのリスク、併用薬、重い腸炎などの患者背景を確認します。経口でも重い腸粘膜障害などでは全身への吸収に注意が必要な場合があります。
作用対象となる菌と、投与経路による分布の違いを分けて整理します。CDIでは原因抗菌薬の必要性の見直しや感染対策も重要です。関連:抗菌薬使用後の下痢。
参考資料 PMDA「塩酸バンコマイシン点滴静注用」電子添文 2026年4月改訂 PMDA「塩酸バンコマイシン散0.5g」医薬品情報・電子添文 SHEA/IDSA「Clostridioides difficile感染症診療ガイドライン 2021 focused update」
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