AKIの原因を3つに分ける|腎前性・腎性・腎後性を所見から考える

AKIを時間軸で確認した後、灌流、腎実質、尿路閉塞のどこを調べるかを整理します。尿所見、画像、FENaの限界と、複数の原因が重なる場合も扱います。

AKIを時間軸で確認した後、灌流、腎実質、尿路閉塞のどこを調べるかを整理します。尿所見、画像、FENaの限界と、複数の原因が重なる場合も扱います。
尿が少ないときに、測定期間と体重、膀胱への貯留、循環と腎機能を順に確認します。尿量の計算例と排尿反射を使い、乏尿と尿閉、AKIの違いを整理します。
尿潜血陽性と赤血球を伴う血尿を区別し、採尿条件、沈渣、蛋白尿、腎機能を組み合わせます。糸球体を疑う所見と、泌尿器の評価を続ける理由を整理します。
尿蛋白の試験紙と定量検査の違い、ACR・PCRの単位、糸球体と近位尿細管の役割を比較します。架空の計算例から、持続性と腎機能を合わせる読み方を学びます。
クレアチニンが上がったとき、値の高さから原因は決まりません。まず過去値と尿量から急な変化かを確かめ、その後で、腎臓へ届く血流、腎実質の障害、尿の流れのどこに問題があるかを考えます。腎前性・腎性・腎後性は、そのための整理です。
KDIGO 2012の定義では、血清クレアチニンが48時間以内に0.3 mg/dL以上増加、7日以内に基準値の1.5倍以上へ増加、または尿量0.5 mL/kg/時未満が6時間以上続く、のいずれかでAKIを判断します。尿量の測定方法や基準値の確かさも点検します。2026年改訂版は参照時点で公開草案後の作業中のため、ここでは公表済み定義を示します。
高K血症、肺水腫、重い酸塩基異常、尿毒症を疑う所見などは迅速な評価が必要です。尿が出ていてもAKIは起こります。変動するクレアチニンから計算したeGFRは、定常状態を前提とするため、そのまま現在の濾過量とは読めません。
分類 | 主に考える異常 | 確認する情報の例 |
|---|---|---|
腎前性 | 腎灌流や有効動脈血液量の低下 | 出血・体液喪失、循環動態、心不全、薬剤 |
腎性 | 糸球体・尿細管・間質・血管の障害 | 尿沈渣、蛋白・血尿、薬剤、全身所見 |
腎後性 | 尿路の閉塞 | 排尿状態、膀胱、超音波などの画像 |
腎前性を脱水と同義にしません。心不全では体液が増えて浮腫があっても、有効な灌流の低下や静脈うっ血が腎機能へ影響します。「浮腫があるから血流は十分」「AKIだから輸液する」という一段の判断は避けます。
赤血球円柱や糸球体性血尿は糸球体の病態を、顆粒円柱や尿細管上皮細胞は尿細管障害を考える材料になります。白血球や白血球円柱は感染・間質性炎症などと併せて解釈します。どの所見も、採尿条件と他の情報を無視して病名を確定するものではありません。
発熱、発疹、新しい薬剤、感染、血圧の変化、造影剤などへの曝露時刻を並べると、検査値との前後関係が見えます。尿蛋白の量、血尿の性状、血小板や溶血所見などから、見逃したくない糸球体・血管の病態も検討します。
FENaは、濾過されたNaのうち尿へ排泄された割合の推定です。尿Na×血清Cr÷(血清Na×尿Cr)×100で計算します。血液と尿はできるだけ同時点のものを使い、NaとCrはそれぞれ血清と尿で同じ単位にそろえます。
低値はNa保持を考える材料になりますが、早期の腎実質障害などでも低くなり得ます。利尿薬は尿中Naを増やし、CKDなども解釈へ影響します。FE尿素にも限界があり、単独の閾値で診断を置き換えません。今回は分類の原理を理解し、数値は病歴・尿所見・循環・画像へ戻して読みます。
無尿や排尿困難があれば、膀胱の尿貯留やカテーテルの状態を含めて確認します。両側の尿路閉塞や、機能する腎が一つの場合の閉塞はAKIの原因になり得ます。超音波で水腎症を調べますが、閉塞の初期などでは拡張が目立たない場合もあり、臨床的な疑いが強ければ評価を続けます。
編集部作成の学習例で、下痢が続き、その後に長時間の低血圧を伴った人を考えます。出発点が体液喪失でも、その後に尿細管障害が加わる可能性があります。分類は経過で変わり、感染、薬剤、閉塞も重なり得ます。初回の分類名を維持することより、原因への対応後に尿量・クレアチニン・全身状態がどう変わるかを確かめます。
AKIの原因評価
この記事に対応した3問です。解答後に各選択肢の理由を読み、記事の該当箇所へ戻れます。登録せずに解説まで読めます。
3問を解く医療系学生向けの学習情報を編集・提供しています。
排尿回数の増加と一日尿量の増加を区別し、浸透圧利尿と水利尿を比較します。血清Naと尿浸透圧、ADHと髄質勾配を、架空の記録例からつなげます。