猿手は、母指球筋の萎縮と母指対立・外転機能の低下により、母指が手掌と同じ平面に位置する手の変形である。正中神経麻痺、とくに手関節より近位の障害や進行した手根管症候群でみられる。
機能所見
正中神経反回枝は短母指外転筋、母指対立筋、短母指屈筋浅頭を支配する。これらが麻痺すると母指球が萎縮し、母指を手掌面から垂直方向へ外転・対立できなくなる。長母指伸筋・内転筋などの作用が相対的に優位となり、母指が示指と同じ平面に並ぶ。高位正中神経障害では前腕屈筋群も障害され、感覚障害は母指から環指橈側に生じる。
母指球の左右差、母指の位置、手掌の形態を観察する。母指を手掌面から垂直に持ち上げる短母指外転筋、母指を小指へ触れさせる対立運動を評価する。紙幣やカードを母指と小指で挟む、ペンをつまむ動作も確認する。母指、示指、中指、環指橈側の感覚、Tinel徴候、Phalen試験、前腕回内、手関節屈曲、示指・中指屈曲を評価し、障害部位を推定する。
鷲手は尺骨神経麻痺により環指・小指のMP関節過伸展とIP関節屈曲を呈する。下垂手は橈骨神経麻痺による手関節伸展障害である。前骨間神経障害では母指・示指のIP・DIP屈曲障害が中心で感覚障害を欠く。手根管症候群では手掌中央の感覚が正中神経掌側皮枝により保たれることがある。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。