半側空間無視は、視力や感覚経路が保たれていても、病変と反対側の空間にある刺激へ注意を向けたり反応したりできない高次脳機能障害である。右頭頂葉病変による左半側空間無視が典型的である。
機能所見
空間注意は頭頂葉、前頭葉、視床、基底核などの注意ネットワークによって制御される。右大脳半球は左右両側の空間へ注意を配分するのに対し、左半球は主に右空間を担当すると考えられている。このため右頭頂葉病変では左空間への注意が大きく失われやすい。視覚だけでなく、聴覚、触覚、身体空間、近位・遠位空間にも無視が現れる。一次感覚障害ではなく、刺激の存在を認識し行動へ反映する注意過程の障害である。
食事で皿の片側を残す、片側の更衣・整容を忘れる、車椅子や歩行で片側へ衝突するなど日常行動を観察する。線分二等分試験、線分抹消試験、星印抹消試験、時計描画、人物・花の模写を行い、片側の見落としや偏位を確認する。対座法で視野を評価して半盲を確認し、同時刺激による消去現象、身体無視、病態失認も評価する。机上検査が正常でも実生活で無視が残ることがあるため、移動、食事、更衣、読書場面を含めて判定する。
同名半盲は視覚経路障害で、視野そのものが欠損するが、頭部・眼球を動かして補おうとすることがある。半側空間無視では視野が保たれていても注意を向けられず、複数感覚に及ぶ。視覚失認では見えている物体の意味を認識できない。片側感覚障害では刺激を感知できないが、無視では単独刺激に反応できても両側同時刺激で患側を見落とす消去現象がみられることがある。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。