医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
急性膵炎は、膵管内で活性化された膵酵素が自らの膵組織を消化(自己消化)することで生じる急性の炎症性疾患である。激しい上腹部痛や背部痛を主症状とし、重症例では多臓器不全を来す予後不良な病態である。CBTや医師国家試験では、原因、血液所見(リパーゼ等)、重症度判定(予後因子スコア)、初期治療の大量輸液が超頻出である。
持続する激しい上腹部痛、背部痛
前屈位(膝胸位)による疼痛軽減
悪心、嘔吐、腹部膨満感
発熱、頻脈(重症例)
Cullen徴候(臍周囲の皮下出血)、Grey-Turner徴候(左側腹部の皮下出血)※出血性・重症膵炎の徴候
初期評価
激しい腹痛・背部痛、飲酒歴・胆石の既往、身体所見(圧痛、徴候)を確認する。
検査
血液・尿検査:血清アミラーゼ・リパーゼの上昇、尿中アミラーゼの上昇を確認する。
画像検査:腹部超音波で膵腫大や周囲の液体貯留を確認。腹部造影CTは「重症度(CTグレード)」の判定に不可欠であり、膵組織の造影不良域(壊死)を評価する。
重症度判定:日本の「急性膵炎重症度判定基準」に基づき、予後因子スコアとCTグレードを算出する。
鑑別
消化管穿孔(free air)、心筋梗塞(下壁)、大動脈解離、胆石・胆嚢炎と鑑別する。
初期対応
「絶飲食」による膵臓の安静と、「大量輸液(等張電解質液)」による有効循環血漿量の維持を直ちに行う。
根本治療
薬物療法:蛋白分解酵素阻害薬(メシル酸ガベキサート等)や抗菌薬の投与。
疼痛管理:非麻薬性鎮痛薬(ペンタゾシン)を使用する。
合併症対応:胆石性膵炎では早期のERCP・EST(乳頭切開術)を検討する。重症例では持続的動注療法や血液浄化療法を行う。
病態
本来は十二指腸で活性化されるべき膵酵素(トリプシンなど)が膵管内で異常活性化し、膵組織の自己消化を引き起こす。これにより浮腫、出血、さらには膵組織の壊死を来し、全身性炎症反応症候群(SIRS)から多臓器不全へと進行し得る。
原因
「アルコール」と「胆石」が2大原因である。その他、高トリグリセリド(TG)血症、ERCP後、特発性、薬剤性などが挙げられる。
分類
「間質浮腫性膵炎(軽症)」と「壊死性膵炎(重症)」に大別される。
試験での重要ポイント
「激しい上腹部痛・背部痛(前屈位で軽減)」という特徴的な疼痛があれば本疾患を強く疑う。血液検査では、アミラーゼよりも膵特異性の高い『リパーゼ』の上昇が重要。重症度判定には、臨床指標を用いた「予後因子スコア(9項目)」と造影CTによる「CTグレード(炎症の広がりと壊死範囲)」を併用する。初期治療の鉄則は『絶飲食』と『細胞外液の大量輸液』であり、循環動態の維持が救命に直結する。また、鎮痛にはオッディ括約筋を収縮させるモルヒネは避け、ペンタゾシン等を用いる点も頻出である。
覚え方・コツ
「急性膵炎は、酒(アルコール)と石(胆石)で膵臓が自分を食べる。リパーゼ上がって背中まで激痛。治療はとにかく『水(大量輸液)』を盛れ!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。