ARDSは、重症肺炎や敗血症などを契機に、全身性の過剰な炎症反応が肺に波及し、急激な血管透過性亢進による「非心原性肺水腫」を引き起こす重篤な呼吸不全である。肺保護を目的とした人工呼吸器管理が治療の中心となる。
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急激に進行する呼吸困難、頻呼吸、チアノーゼ。
基礎疾患の症状:高熱、血圧低下(ショック)、腹痛など。
血液ガス分析:著明な低酸素血症(酸素を吸わせてもPaO2が上がらないのが特徴)。P/F比の算出(正常は400以上、300以下でARDS)。
画像診断:胸部X線・CTで両側性のびまん性浸潤影(透過性低下)。
心不全の除外:心エコー(左室収縮能正常)、BNP正常、PCWP ≦ 18mmHg(スワンガンツカテーテル)。
原疾患の治療:敗血症に対する抗菌薬、外傷の処置など(最優先)。
呼吸管理(肺保護戦略):気管挿管・人工呼吸器管理。『低1回換気量(6mL/kg)』および『適切なPEEP』の設定。腹臥位療法(うつ伏せにすることで背側の潰れた肺胞を開かせる)。
薬物・全身管理:厳格な水分管理(ドライに保つ)。重症例ではECMO(体外式膜型人工肺)の導入を検討する。
病態
敗血症、重症肺炎、重症外傷、急性膵炎などを基礎疾患とする。サイトカインストームにより肺胞毛細血管の透過性が亢進し、肺胞内にタンパク質に富んだ滲出液が溢れ出す(非心原性肺水腫)。肺は水浸しになり重く硬くなる(コンプライアンス低下)。
試験・臨床での重要ポイント
『Berlin(ベルリン)定義』が頻出。①1週間以内の急激な発症、②胸部X線で『両側性浸潤影(すりガラス影〜白濁)』、③心不全や水分過多だけでは説明できない(非心原性)、④『P/F比(PaO2/FiO2)≦ 300』による低酸素血症、の4つを満たすことで診断する。心不全(心原性肺水腫)の除外として、心エコーや肺動脈楔入圧(PCWP ≦ 18mmHg)が用いられる。
人工呼吸器の設定(肺保護戦略)が極めて重要であり、『1回換気量を低めに設定(6mL/kg:肺の過膨張による損傷を防ぐ)』し、『PEEP(呼気終末陽圧)をかける(潰れた肺胞を膨らませる)』のが鉄則。
覚え方・コツ
「ARDSは『炎症の巻き添えで肺が水浸しになる』超重症状態!心臓が原因じゃない(非心原性)のに、レントゲンで肺が真っ白になる。敗血症や膵炎の後に急に息ができなくなったらコレ。肺が硬く傷ついているから、人工呼吸器は『空気の量(1回換気量)を少なめ』にして優しく膨らませ、吐く時も圧(PEEP)をかけて肺がペチャンコに潰れるのを防げ!」
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I型呼吸不全は、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下に低下しているが、二酸化炭素分圧(PaCO2)は正常または低下(45Torr以下)している状態。主に肺の実質や間質の障害による「酸素化障害」が原因である。
II型呼吸不全は、PaO2が60Torr以下に低下し、かつPaCO2が45Torrを超えて蓄積している状態。気道の閉塞や呼吸筋の低下による「肺胞換気量の低下(息が十分に吐き出せない、吸い込めない)」が主な原因である。
嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の異常により全身の外分泌腺の分泌液が異常に粘稠となる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。白人に多く日本人には極めて稀。気道感染の反復による呼吸不全と、膵外分泌不全による消化・吸収不良が二大症状となる。
CO2ナルコーシスは、慢性的に高CO2血症がある患者(主に重症COPD)に対し、不適切に高濃度の酸素を投与した結果、呼吸中枢が抑制されてさらにCO2が蓄積し、重篤な意識障害や呼吸停止に陥る医原性の病態である。