CO2ナルコーシスは、慢性的に高CO2血症がある患者(主に重症COPD)に対し、不適切に高濃度の酸素を投与した結果、呼吸中枢が抑制されてさらにCO2が蓄積し、重篤な意識障害や呼吸停止に陥る医原性の病態である。
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意識障害(傾眠傾向、もうろう状態から始まり、昏睡に至る)。
自発呼吸の減弱・停止(呼吸が浅く、遅くなる)。
CO2の血管拡張作用による症状:顔面紅潮、発汗、頭痛。
羽ばたき振戦(高CO2血症のサインとして出現することがある)。
血液ガス分析(必須・最重要):PaCO2の著明な上昇(>70-80mmHgなど)、pHの低下(呼吸性アシドーシス)。PaO2は投与された酸素により上昇していることが多い。
問診:COPD、肺結核後遺症、睡眠時無呼吸症候群などの「慢性的な高CO2血症」をきたす基礎疾患の有無と、直前の酸素投与の状況を確認する。
初期対応:直ちに『酸素投与量を減量』する。※急に完全に中止すると深刻な低酸素血症になるため、SpO2を見ながら低流量に下げる。
呼吸補助:『NPPV(非侵襲的陽圧換気)』を導入し、換気を補助して蓄積したCO2を強制的に吹き飛ばす。
気管挿管:NPPVで改善しない場合や、意識障害が深く自発呼吸が弱すぎる(または停止した)場合は、『気管挿管・人工呼吸器管理』により強制換気を行う。
病態
健康な人は「CO2が高い」ことを感知して呼吸をする。しかし慢性的にCO2が高い患者(COPDなど)は、脳がCO2への反応に鈍感になり、「O2が低い(低酸素)」ことを頼りに呼吸をするようになる(低酸素換気応答)。そこで急に高濃度の酸素を与えられると、「もう十分酸素があるから呼吸しなくていい」と勘違いして自発呼吸をサボってしまい、結果としてCO2が致死的なレベルまで蓄積してしまう。
試験・臨床での重要ポイント
「COPD(肺気腫)の高齢者」が「救急車で酸素マスク(高流量)をつけられて搬送された後、意識がもうろうとしてきた」というエピソードが国試の超頻出引っかけ問題。
血液ガス分析で『PaO2は上昇しているが、PaCO2が著明に上昇し、呼吸性アシドーシス』を呈するのが特徴。COPD患者への酸素投与は『鼻カヌラで低流量(0.5〜1.0L/分)から慎重に開始』し、SpO2 88〜92%(通常より低めでOK)を目標にするのが医療安全上の絶対の鉄則である。
覚え方・コツ
「CO2ナルコーシスは『酸素のやりすぎで呼吸をサボる死亡フラグ』!肺気腫の患者は酸素不足を頼りに息をしているから、慌てて酸素をドバドバ吸わせると『おっ、酸素足りたわ』と息を止めてしまう!結果、CO2が頭に溜まって昏睡状態(ナルコーシス)になる。COPDの患者には『低濃度でケチケチ酸素をあげる』のが命を守るルールだ!」
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I型呼吸不全は、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下に低下しているが、二酸化炭素分圧(PaCO2)は正常または低下(45Torr以下)している状態。主に肺の実質や間質の障害による「酸素化障害」が原因である。
II型呼吸不全は、PaO2が60Torr以下に低下し、かつPaCO2が45Torrを超えて蓄積している状態。気道の閉塞や呼吸筋の低下による「肺胞換気量の低下(息が十分に吐き出せない、吸い込めない)」が主な原因である。
嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の異常により全身の外分泌腺の分泌液が異常に粘稠となる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。白人に多く日本人には極めて稀。気道感染の反復による呼吸不全と、膵外分泌不全による消化・吸収不良が二大症状となる。
胸水は、肺を覆う臓側胸膜と胸壁を覆う壁側胸膜の間の「胸腔内」に液体が異常に貯留した状態である。病名というより症候であり、心不全などの全身要因による「漏出性」と、胸膜炎や癌などの局所要因による「滲出性」に大別して原因を検索する。