嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の異常により全身の外分泌腺の分泌液が異常に粘稠となる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。白人に多く日本人には極めて稀。気道感染の反復による呼吸不全と、膵外分泌不全による消化・吸収不良が二大症状となる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
呼吸器症状:慢性咳嗽、極めて粘稠な喀痰、反復する気道感染(緑膿菌など)、喘鳴、呼吸困難。進行すると気管支拡張症、呼吸不全。
消化器症状:胎便イレウス(新生児期)、脂肪便(悪臭のある泥状・浮上便)、体重増加不良・成長障害、胆汁うっ滞性肝硬変。
その他:汗の塩分濃度上昇、男性不妊(輸精管の無発生・形成不全による)。
確定診断(最重要):『汗試験(汗中Cl濃度測定)』。通常60mEq/L以上であれば陽性と判定される。
遺伝子検査:CFTR遺伝子変異の同定(欧米ではΔF508変異が最多)。
その他スクリーニング:新生児期の血中免疫反応性トリプシノーゲン(IRT)高値。
呼吸器管理:気道クリアランス療法(タッピング、排痰補助)、去痰薬の吸入、感染増悪時の抗菌薬投与。
消化器・栄養管理:『膵消化酵素薬の大量補充』、高カロリー・高タンパク・高脂肪食の摂取、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の補充。
原因療法(近年大きなブレイクスルー):『CFTRモジュレーター(イバカフトル、ルマカフトルなど)』。特定の遺伝子変異を持つ患者に対し、CFTR蛋白の機能を直接改善させる画期的な薬が登場し、予後が劇的に改善しつつある。
病態
塩素イオンチャネルであるCFTR(Cystic Fibrosis Transmembrane conductance Regulator)蛋白の機能が障害されることで、細胞膜を介した水とクロール(Cl)の輸送が滞る。結果として気道、膵管、腸管などの分泌液から水分が失われ、極めて粘稠(ネバネバ)になる。
試験・臨床での重要ポイント
「白人の小児」が新生児期に「胎便イレウス」で発症したり、幼少期から「肺炎を繰り返す」「体重が増えない」というエピソードが定番。気道に粘稠な分泌物が溜まるため、『緑膿菌』や黄色ブドウ球菌の反復感染を起こし気管支拡張症に至る。膵管が詰まるため消化酵素が出ず、『脂肪便』となる。
診断の絶対的キーワードは『汗試験(汗中クロール値の高値)』。汗腺の導管でClが再吸収されないため、「親が子供にキスをした時に異常にしょっぱい」ことで気づかれるという古典的エピソードが有名。
覚え方・コツ
「CFは『全身ネバネバ液病』!白人に多くて日本では超レア。気管支がネバネバの痰で詰まって緑膿菌が住み着き(肺炎反復)、膵臓の管が詰まってウンチに脂肪が混ざる(脂肪便)。汗だけは逆に塩分が吸収できなくて『異常にしょっぱい汗』になるのがテストの最大のサイン!生まれた時のネバネバウンチ(胎便イレウス)の原因にもなるぞ!」
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
I型呼吸不全は、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下に低下しているが、二酸化炭素分圧(PaCO2)は正常または低下(45Torr以下)している状態。主に肺の実質や間質の障害による「酸素化障害」が原因である。
II型呼吸不全は、PaO2が60Torr以下に低下し、かつPaCO2が45Torrを超えて蓄積している状態。気道の閉塞や呼吸筋の低下による「肺胞換気量の低下(息が十分に吐き出せない、吸い込めない)」が主な原因である。
CO2ナルコーシスは、慢性的に高CO2血症がある患者(主に重症COPD)に対し、不適切に高濃度の酸素を投与した結果、呼吸中枢が抑制されてさらにCO2が蓄積し、重篤な意識障害や呼吸停止に陥る医原性の病態である。
胸水は、肺を覆う臓側胸膜と胸壁を覆う壁側胸膜の間の「胸腔内」に液体が異常に貯留した状態である。病名というより症候であり、心不全などの全身要因による「漏出性」と、胸膜炎や癌などの局所要因による「滲出性」に大別して原因を検索する。