医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
ALDは、極長鎖脂肪酸(VLCFA)のトランスポーター異常により、大脳白質や副腎皮質にVLCFAが蓄積するX連鎖遺伝の代謝異常症。小児大脳型では学童期に急激な知的退行と視力・聴力障害をきたし、副腎不全(色素沈着など)を合併する。
小児大脳型:学童期(7〜8歳頃)に発症。学力低下、行動異常、視力障害(同名半盲など)、聴力障害、歩行障害(痙性麻痺)。数年で除皮質状態となる。
副腎不全症状:全身の皮膚色素沈着、全身倦怠感、低血糖、低ナトリウム血症。
※青年期以降に発症し、痙性対麻痺を主徴とするAMN(アドレノミエロニューロパチー)型もある。
血液検査:『極長鎖脂肪酸(VLCFA)の上昇』。内分泌検査で原発性副腎皮質機能低下(ACTH高値、コルチゾール低値)。
頭部MRI:『後頭葉・頭頂葉優位の大脳白質病変(T2高信号)』、および病変辺縁の造影効果を認める。
確定診断:ABCD1遺伝子の変異解析。
中枢神経病変に対して:発症極早期(または発症前のMRI異常段階)の小児大脳型に限り、『造血幹細胞移植』が進行阻止のための唯一の根治的治療となる(進行した状態では適応外)。
副腎不全に対して:『副腎皮質ステロイド(ヒドロコルチゾン)の補充』が不可欠である。
※ロレンツォのオイル(エルカ酸など)は発症予防目的で使用されることがあるが、発症後の神経症状改善効果はない。
病態
ペルオキシソーム内へ極長鎖脂肪酸を運び込む扉であるABCD1タンパクの遺伝子変異。VLCFAが細胞内に異常蓄積し、中枢神経の広範な脱髄と副腎皮質の機能不全を引き起こす。
試験・臨床での重要ポイント
『X連鎖潜性(劣性)遺伝』であるため、発症は「男児(男性)」である。小児大脳型では、「小学校に入学するまでは普通に育っていた男児が、急に学力が低下し、目が見えなくなり、耳が聞こえなくなり、歩けなくなる(広範な白質脱髄)」という悲惨な経過をたどる。また、副腎不全(アジソン病様)による『皮膚の色素沈着(全身が黒ずむ)』を合併するのが特徴。頭部MRIでの『後頭葉優位から前方に広がる大脳白質病変』が画像問題で頻出。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
TRAPSは、TNF(腫瘍壊死因子)受容体の遺伝子変異により、病原体の感染がないのに自然免疫が暴走して長期間の発熱を繰り返す「自己炎症性疾患」。1週間以上続く発熱、遊走性の筋肉痛、眼周囲の浮腫を特徴とする。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。