大動脈解離は、大動脈の壁(中膜)が裂け、血液が本来の血管腔とは別の層に流れ込む致死的な緊急疾患である。突然の引き裂かれるような移動性の胸背部痛を特徴とし、Stanford A型では心タンポナーデなどを合併する。CBTや医師国家試験の救急・循環器分野で毎年問われる超頻出疾患である。
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突然の引き裂かれるような激痛(胸部から背部、腹部へ移動する)
左右の上肢における血圧差・脈拍の左右差
失神・意識障害(脳虚血やショックによる)
下肢の冷感・しびれ(下肢虚血による)
心不全症状(呼吸困難など、A型で大動脈弁閉鎖不全症を合併した場合)
初期評価
バイタルサインの確認、両上肢の血圧測定(左右差の確認)、心音聴診(大動脈弁の拡張期雑音の有無)、神経学的所見の確認を行う。
検査
造影CT検査が診断の確定と病型分類に必須である(真腔・偽腔とフラップを確認する)。胸部X線で縦隔の拡大を認める。心電図や心エコー(心タンポナーデの除外)も行う。
鑑別
急性心筋梗塞(大動脈解離が冠動脈に及んで併発することもあるため要注意)、肺血栓塞栓症、気胸、特発性食道破裂などの致死的胸痛疾患(killer chest pain)と鑑別する。
初期対応
絶対安静とし、ただちに降圧(収縮期血圧100〜120mmHgを目標)および鎮痛(モルヒネなど)を行い、解離の進行を防ぐ。心拍数のコントロール(β遮断薬)も重要である。
根本治療
Stanford A型はただちに緊急手術(人工血管置換術)を行う。Stanford B型は原則として降圧・安静による保存的加療を行うが、臓器虚血や破裂の危険がある場合などは手術(胸部ステントグラフト内挿術など)を考慮する。
病態
大動脈の壁を構成する3層(内膜、中膜、外膜)のうち、内膜に亀裂(エントリー)が入り、中膜に血液が流れ込んで血管壁が長軸方向に引き裂かれる状態。
原因
高血圧症が最大の危険因子である。その他、動脈硬化、加齢、マルファン症候群などの結合組織疾患、二尖弁などが原因となる。
分類
Stanford分類が頻出。上行大動脈に解離が及ぶものを「Stanford A型」、及ばないものを「Stanford B型」とする。
試験での重要ポイント
「突然の引き裂かれるような移動性の胸背部痛」は頻出。上肢の左右の血圧差(20mmHg以上)があればこの疾患を疑う。Stanford A型は心タンポナーデや急性大動脈弁閉鎖不全症、冠動脈の血流障害(急性心筋梗塞)を合併しやすく、緊急手術の適応となる点が最重要。鑑別でよく出るのは「急性心筋梗塞」や「肺血栓塞栓症」である。血液検査でのDダイマー高値も参考になる。
覚え方・コツ
「A型は上行ありで緊急手術、B型は上行なしで血圧コントロール」と覚える。
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。