アペール症候群は、FGFR2遺伝子の変異による頭蓋縫合早期癒合症の一つである。尖頭・顔面中部低形成に加えて、手足の全指趾が癒合する重度の「複雑合指症(ミトン手)」を伴うことが最大の特徴である。
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頭蓋変形(尖頭、短頭など)
顔面中部の発育不全、反対咬合
眼球突出、両眼開離、下斜視(V徴候)
四肢の対称性複雑合指(趾)症(第2〜4指が癒合するミトン状手など)
知的障害(軽度〜中等度が多い)、水頭症
初期評価
出生時の特有の顔貌と、四肢の重度な合指症から直ちに疑う。
検査
頭部3D-CTで冠状縫合などの早期癒合を確認し、脳の圧迫や水頭症の有無を評価する。四肢のX線で骨の癒合状態を確認する。確定診断はFGFR2遺伝子解析。
治療方針
脳への圧迫(頭蓋内圧亢進)を防ぐため、乳児期早期に「頭蓋形成術(頭蓋骨を分割して延長する手術)」を行う。また、手先の機能を獲得するために、段階的な「合指分離術」を幼少期に複数回行う。顔面中部の低形成に対する骨延長術や、反対咬合に対する歯科矯正も長期間必要となる。
病態
線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子の特定の変異により、胎児期に頭蓋骨の縫合線(特に冠状縫合)が早期に癒合してしまう。脳の成長に伴って頭蓋が上方に伸び(尖頭)、眼窩が浅くなるため眼球突出をきたす。
試験・臨床での重要ポイント
頭蓋縫合早期癒合症の中で、クルーゾン症候群との鑑別が超頻出である。アペール症候群の決定的な特徴は『四肢の重度な左右対称の合指(趾)症』である。複数の指の骨や軟部組織が完全にくっついており、手がミトン(手袋)のようになる『mitten hand』が有名。また、クルーゾン症候群に比べて知的障害を合併しやすい。
覚え方・コツ
「アペール症候群は『頭が尖る(尖頭)』+『手がミトン(複雑合指症)』!指が全部くっついて離れないのがクルーゾンとの絶対的な違い。脳が圧迫されるから知能障害も出やすい。頭の骨を広げて、指を切り離す手術が必要!」
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大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。
ファイファー症候群は、FGFR1またはFGFR2遺伝子の変異により生じる頭蓋骨縫合早期癒合症(症候群性)。頭蓋骨の変形(尖頭やクローバー葉頭蓋)に加え、特徴的な「幅広で外側に曲がった親指および足の親指」を伴う。
ヌーナン症候群は、RAS/MAPKシグナル伝達経路の遺伝子変異により生じる常染色体優性遺伝疾患。「ターナー症候群に似た外見(翼状頸、低身長)」を呈するが、染色体は正常であり、男女ともに発症する。肺動脈弁狭窄症などの右心系奇形を合併しやすい。