心房中隔欠損症は、右心房と左心房を隔てる中隔に欠損孔(穴)が開いている先天性心疾患。圧の高い左房から右房へ血液が流れる「左右シャント」により右心負荷をきたす。小児期は無症状で、学校検診の心雑音や心電図異常(不完全右脚ブロック)で発見されることが多い。
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小児期〜若年成人:多くは無症状。
中年期以降:右心不全症状、労作時息切れ、易疲労感。心房負荷による心房細動(動悸)。
合併症:奇異性脳塞栓症(深部静脈血栓がASDを通って脳へ飛ぶ)。
聴診:II音の固定性分裂、相対的肺動脈狭窄による収縮期駆出性雑音。
心電図:『不完全右脚ブロック』、右房負荷(P波増高)、右軸偏位。
胸部X線:右房・右室・肺動脈本幹の拡大、肺血管陰影の増強(左房・左室の拡大はないのがVSDとの違い)。
心エコー:心房中隔の欠損孔の直接観察(特に経食道エコーが有用)、左右シャント血流の証明、右室容量負荷の評価。
無症状でシャント量が少ない場合:経過観察。
シャント量が多い(肺血流/体血流比[Qp/Qs] ≧ 1.5)、または右心負荷所見がある場合:外科的治療の適応。
①『カテーテル閉鎖術』:カテーテルを用いてアンプラッツァーなどの閉鎖栓を留置する(主流となりつつある)。
②『開胸手術(パッチ閉鎖術)』:欠損孔が大きすぎる場合や、辺縁が不十分な場合に行う。
病態
多くは卵円窩付近に孔が開く「二次孔欠損型」。左房から右房へ血液が漏れる(左右シャント)ため、右房・右室・肺動脈の血液量が過剰になり(容量負荷)、肺血流が増加する。
試験・臨床での重要ポイント
聴診所見が超頻出・絶対暗記。
①『II音の固定性分裂』:呼吸に関係なく、大動脈弁(IIa)が閉じた後、少し遅れて肺動脈弁(IIp)が閉じる(右室の血液量が多く、排泄に時間がかかるため)。
②『相対的肺動脈狭窄による収縮期雑音(第2肋間胸骨左縁)』:肺動脈に大量の血が流れるため、正常な弁が相対的に狭く感じられて「ザーッ」という音が出る(※穴を通る音ではないのが引っかけ)。
③『相対的三尖弁狭窄による拡張期ランブル(第4肋間胸骨左縁)』:三尖弁を通る血流が増えるため。
心電図の『不完全右脚ブロックパターン(rsR')』や、右心系の血栓が穴を通り抜けて脳梗塞を起こす『奇異性脳塞栓症』の原因となることも重要。
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心臓粘液腫は、心腔内に発生する良性腫瘍の中で最も頻度が高く、その約80%が左心房(特に心房中隔)に発生する。腫瘍による血流遮断(僧帽弁狭窄様症状)、塞栓症、およびIL-6産生による全身炎症症状を三徴とする。
収縮性心膜炎は、慢性的な炎症により心膜が肥厚・石灰化し、心臓の拡張が強く制限される疾患である。右心不全症状が主体となり、吸気時に頸静脈怒張が増強する「Kussmaul(クスマウル)徴候」が特徴的である。
三尖弁閉鎖不全症は、右心室の収縮期に血液が三尖弁を通じて右心房へと逆流する疾患。左心系の疾患や肺高血圧症に伴い、右室が拡大して三尖弁輪が引き伸ばされることで生じる「二次性」が大部分を占める。右心不全症状と頸静脈の巨大v波が特徴的。
急性心膜炎は、心膜に生じる急性の炎症であり、特発性(ウイルス性)が最も多い。体位によって変化する鋭い胸痛と、心電図における広範な誘導での「ST上昇(上に凹)」が特徴である。