菌血症は、本来無菌であるはずの「血液中」に細菌が存在する状態である。敗血症と混同されやすいが、菌血症はあくまで『血液培養が陽性である』という細菌学的状態を指し、必ずしも重篤な臓器障害を伴うとは限らない。しかし、敗血症や感染性心内膜炎への移行、遠隔転移病巣の形成に厳重な警戒が必要である。
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悪寒・戦慄(ブルブル震える):菌が血流に入った瞬間に起きやすい。
高熱(弛張熱)、頻脈。
※一過性であれば無症状のこともあるが、持続すれば敗血症(血圧低下、意識障害など)へ進行する。
確定診断:『血液培養陽性』。グラム染色で速報を確認し、菌種を同定する。
初期評価:悪寒・戦慄を伴う発熱。中心静脈カテーテルや留置尿道カテーテルの有無。皮膚、肺、尿路、消化管など、菌がどこから入ったか(フォーカス)の検索。
治療方針:同定された菌に有効な抗菌薬の静注。
重要事項:黄色ブドウ球菌(S. aureus)菌血症の場合は、感染性心内膜炎(IE)を否定するために『心エコー』が必須となり、除菌確認のために血液培養が陰性化するまで繰り返し採取を行う。カテーテル関連血流感染(CRBSI)が疑われる場合は、速やかにカテーテルを抜去する。
病態
抜歯やカテーテル挿入などの医療処置、または局所の感染症から菌が血流内に侵入することで起こる。一時的な「一過性菌血症」であれば生体防御機構により自然消失するが、持続する場合は重篤な疾患のサインとなる。
試験・臨床での重要ポイント
敗血症(Sepsis)は「生体反応による臓器不全」という臨床概念、菌血症(Bacteremia)は「血中に菌がいる」という細菌学的概念であり、両者は重複するが別物である。
臨床的に最も重要なのは『血液培養の採取法』。皮膚の常在菌(表皮ブドウ球菌など)の混入(コンタミネーション)を避けるため、『異なる部位から2セット(好気性・嫌気性ボトルをペアで)』採取することが鉄則。1セットのみ陽性の場合はコンタミの可能性を疑うが、黄色ブドウ球菌や真菌が検出された場合は1セットでも「真の感染」として極めて重く受け止める。
覚え方・コツ
「菌血症は『血液検査(培養)で菌が見つかった』という事実のこと!熱が出ていても、おしっこや肺の菌が血に漏れていれば菌血症。一番大事なのは『2セット採取』!もし1セットだけ別の場所から取っていたら、それが汚れ(コンタミ)なのか本物の菌なのか判断できないから。特に黄色ブドウ球菌の菌血症は心臓の弁に飛び火する(感染性心内膜炎)から、絶対に放置してはいけない!」
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MRSA腸炎は、広域抗菌薬の使用により正常な腸内細菌叢が抑制され、耐性を持つメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が異常増殖して生じる交代現象(菌交代症)の一つである。高齢者の術後などに激しい水様便や緑色便をきたし、急速に脱水・ショックへ進行する重症病態である。
肺炎球菌による市中肺炎(CAP)の最多かつ最も重要な原因疾患。悪寒戦慄を伴う急激な高熱と、「鉄錆色痰(てつさびいろたん)」が特徴的。肺の一葉がベッタリと白くなる大葉性肺炎を呈する。
レジオネラ肺炎は、温泉や24時間風呂、空調の冷却塔などの水系設備から発生するエアロゾルを吸入することで感染する、重症化しやすい非定型肺炎である。高熱に不釣り合いな「相対的徐脈」と、消化器・神経症状、および「低ナトリウム血症」を伴うのが特徴である。
マイコプラズマ肺炎は、「若年者(学童〜若年成人)」に好発する非定型肺炎の代表である。頑固な乾いた咳(乾性咳嗽)が特徴で、細胞壁を持たない菌であるためペニシリンなどのβラクタム系抗菌薬が無効であり、マクロライド系が第一選択となる。