MRSA腸炎は、広域抗菌薬の使用により正常な腸内細菌叢が抑制され、耐性を持つメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が異常増殖して生じる交代現象(菌交代症)の一つである。高齢者の術後などに激しい水様便や緑色便をきたし、急速に脱水・ショックへ進行する重症病態である。
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激しい水様便、緑色便(1日10リットルに及ぶこともある)。
高熱、腹痛、腹部膨満。
急速に進行する脱水、血圧低下、意識障害(ショック状態)。
初期評価:広域抗菌薬の使用歴、術後の経過、緑色便の確認。
細菌学的検査:『便のグラム染色』でグラム陽性球菌の集塊を確認(迅速)。便培養でMRSAの優位な発育を確認。
内視鏡:小腸粘膜の発赤・浮腫。※偽膜性腸炎と異なり、偽膜は通常認めない。
原因抗菌薬の中止。
除菌療法:『バンコマイシン(VCM)の経口投与(散剤)』が第一選択。経口摂取困難な場合は経鼻胃管を用いる。またはテイコプラニンの経口投与。
全身管理:強力な輸液による脱水・電解質補正。昇圧薬の使用(ショック時)。
病態
本来、黄色ブドウ球菌は腸内では少数派だが、第3世代セフェムなどの強力な抗菌薬によって他の菌が死滅すると、MRSAが優位となりエンテロトキシンを産生して腸粘膜を傷害する。
試験・臨床での重要ポイント
『抗菌薬使用後の下痢』で、偽膜性腸炎(C. difficile)との鑑別が必須。MRSA腸炎は「小腸」がメインで『大量の緑色水様便』が特徴。一方、偽膜性腸炎は「大腸」がメインで「偽膜」を形成する。
診断は、便のグラム染色で『グラム陽性球菌の塊(ぶどうの房状)』を確認することが迅速。治療には、MRSAに有効で腸管から吸収されない『バンコマイシン(VCM)の経口投与』または『バミカシン(VCMの静注)』を行う。
覚え方・コツ
「MRSA腸炎は『手術後の高齢者に起きる激しい下痢』!抗菌薬で良い菌が死んで、MRSAが暴走。ポイントは『緑色のジャブジャブ便』と『小腸がやられる』こと。治療はバンコマイシンの『飲み薬』!注射じゃなくて、直接腸に届くように飲ませるのが正解!」
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肺炎球菌による市中肺炎(CAP)の最多かつ最も重要な原因疾患。悪寒戦慄を伴う急激な高熱と、「鉄錆色痰(てつさびいろたん)」が特徴的。肺の一葉がベッタリと白くなる大葉性肺炎を呈する。
レジオネラ肺炎は、温泉や24時間風呂、空調の冷却塔などの水系設備から発生するエアロゾルを吸入することで感染する、重症化しやすい非定型肺炎である。高熱に不釣り合いな「相対的徐脈」と、消化器・神経症状、および「低ナトリウム血症」を伴うのが特徴である。
マイコプラズマ肺炎は、「若年者(学童〜若年成人)」に好発する非定型肺炎の代表である。頑固な乾いた咳(乾性咳嗽)が特徴で、細胞壁を持たない菌であるためペニシリンなどのβラクタム系抗菌薬が無効であり、マクロライド系が第一選択となる。
ニューモシスチス肺炎は、細胞性免疫低下時(特にAIDS患者)に発症する代表的な日和見感染症である。真菌であるニューモシスチス・イロベチイが原因で、乾性咳嗽と呼吸困難をきたし、CTでの「両側びまん性すりガラス影」と血液検査での「β-D-グルカン上昇」が特徴的。ST合剤が特効薬となる。