心臓粘液腫は、心腔内に発生する良性腫瘍の中で最も頻度が高く、その約80%が左心房(特に心房中隔)に発生する。腫瘍による血流遮断(僧帽弁狭窄様症状)、塞栓症、およびIL-6産生による全身炎症症状を三徴とする。
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MS様症状:労作時呼吸困難、起坐呼吸、肺水腫(体位により急変することがある)。
塞栓症状:脳梗塞(若年者の脳梗塞で心疾患がない場合に疑う)、四肢動脈塞栓。
全身症状:発熱、関節痛、体重減少(IL-6による)。
心エコー(第一選択):左房内を可動する茎を持った腫瘍エコー。僧帽弁口への嵌頓像を確認。
血液検査:CRP上昇、赤沈亢進、γ-グロブリン上昇(IL-6の影響)。
聴診:拡張期ランブル(MS様)、『Tumor plop』の聴取。
外科的治療(緊急):塞栓症や突然死のリスクがあるため、診断がつき次第『腫瘍摘出術』を行う。再発防止のため、付着部(心房中隔)を含めて広めに切除する。
病態
左心房の心房中隔(卵円窩付近)に茎を持って付着し、心周期に伴って可動する。腫瘍が僧帽弁口に嵌り込むと、左房から左室への血流を妨げ、僧帽弁狭窄症(MS)と同様の血行動態を呈する。
試験・臨床での重要ポイント
聴診での『Tumor plop(腫瘍拍打音)』が絶対的なキーワード。拡張期に腫瘍が僧帽弁に衝突する際に出る音である。また、体位によって腫瘍の位置が変わるため、『体位によって変化する心雑音・呼吸困難』というエピソードが国試の定番。
腫瘍からIL-6が放出されるため、良性腫瘍でありながら『発熱、体重減少、CRP上昇』などの全身炎症症状を伴う。また、脆い腫瘍の一部が剥がれて飛ぶと、脳塞栓(脳梗塞)の原因となる。
覚え方・コツ
「心臓粘液腫は『左房で踊る、イライラ(IL-6)したゼリーの塊』!MSと似ているけど、体位で症状が変わるのがヒント。聴診器で『ポコン(Tumor plop)』と音がしたらコレ。良性だけど、脳に飛んだら大変(塞栓症)だし、炎症で熱も出るから、見つけ次第『すぐに手術で摘出』するのが鉄則!」
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。