最終更新日: 2026年4月18日
アスクレピアで深掘りする心タンポナーデは、心膜腔内に液体(血液や滲出液)が急速に貯留し、心臓が圧迫されることで拡張不全に陥り、致死的な心原性ショックを来す緊急疾患である。CBTや医師国家試験では、原因疾患(急性大動脈解離など)、Beckの三徴、奇脈、心エコー所見、そして緊急の心囊穿刺が毎年必ず問われる超頻出疾患である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
呼吸困難、息切れ
胸痛
ショック症状(冷汗、顔面蒼白、頻脈、意識障害)
頸静脈の著明な怒張
奇脈(吸気時に脈が弱くなる、または触れなくなる)
初期評価
胸痛やショックを呈する患者において、Beckの三徴(血圧低下・頸静脈怒張・心音微弱)や奇脈を確認した場合に直ちに本疾患を疑う。
検査
心エコーが確定診断かつ最も迅速な検査である。大量(または急激)な心囊液貯留と、特徴的な「右室前壁の拡張期虚脱(diastolic collapse)」や右房の虚脱を確認する。胸部X線では心拡大(フラスコ状心:ただし急性期は拡大しないことも多い)を認める。心電図で低電位や電気的交互脈(QRS波の高さが1拍ごとに変化する)を認める。
鑑別
緊張性気胸(頸静脈怒張とショックを伴うが、呼吸音の減弱がある)、肺血栓塞栓症、急性心筋梗塞(単独)と鑑別する。
初期対応
静脈還流を維持するため、直ちに「急速輸液(細胞外液)」を行う(※利尿薬や血管拡張薬は静脈還流をさらに減らすため原則禁忌)。
根本治療
血行動態が破綻している場合、救命のために直ちに「心囊穿刺(エコーガイド下)」を行い、貯留液をドレナージする。ただし、急性大動脈解離や心室破裂などの器質的破綻が原因の場合は、穿刺だけでは根本的な止血ができないため、心臓血管外科による緊急開胸手術(修復術・ドレナージ)が絶対適応となる。
病態
伸展性の乏しい心膜腔内に液体が急激に貯留することで心膜腔内圧が上昇し、右室・左室の拡張が強く障害される。静脈還流が減少して一回心拍出量が激減し、閉塞性ショック(心外閉塞性・拘束性ショック)に陥る。
原因
急性大動脈解離(Stanford A型)の破裂、急性心筋梗塞後の心室自由壁破裂、胸部外傷、悪性腫瘍(癌性心膜炎)、尿毒症、特発性心外膜炎などが原因となる。
試験での重要ポイント
「Beckの三徴(①血圧低下、②頸静脈怒張、③心音微弱)」は絶対暗記必須。吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する「奇脈(Pulsus paradoxus)」も重要所見である。心電図では低電位差や電気的交互脈(Electrical alternans)を認める。心エコーは確定診断に必須であり、「心囊液の貯留」と「右室・右房の拡張期虚脱(collapse)」を確認する。治療の第一選択は「心囊穿刺(心囊ドレナージ)」であるが、原因が大動脈解離や心破裂の場合は直ちに緊急開胸手術が必要である。
覚え方・コツ
「タンポはBeck(ベック)で奇脈。Beckの3徴は、下(血圧低下)、上(頸静脈怒張)、中(心音微弱)。エコーで水たまりと右室ペシャンコ(拡張期虚脱)。急いで針を刺せ(心囊穿刺)!」と覚える。
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深部静脈血栓症(DVT)は、主に下肢や骨盤内の深部静脈に血栓が形成される疾患である。血栓が遊離して肺に飛ぶと、致死的な肺血栓塞栓症(PTE)を引き起こす(両者を合わせて静脈血栓塞栓症:VTEと呼ぶ)。CBTや医師国家試験では、血栓形成の3大要因である「Virchow(ウィルヒョウ)の3徴」、片側性の下肢浮腫、およびエコー所見が毎年問われる超頻出疾患である。
高安動脈炎は、大動脈やその主要分枝に慢性的な肉芽腫性炎症が生じ、血管の狭窄や閉塞をきたす大型血管炎である。若年女性に好発し、脈なし病とも呼ばれる。CBTや医師国家試験では、上肢の血圧左右差や頸部血管雑音、HLA-B52陽性が頻出の重要疾患である。
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)は、高齢者の大型・中型動脈(特に浅側頭動脈)に肉芽腫性炎症が生じる血管炎である。側頭部の拍動性頭痛や咀嚼時の顎の痛みを特徴とし、失明を防ぐための迅速なステロイド治療がCBTや医師国家試験で極めて頻出の重要疾患である。
結節性多発動脈炎(PAN)は、中型動脈の壁にフィブリノイド壊死を伴う強い炎症が生じ、全身の臓器障害をきたす血管炎である。腎梗塞や末梢神経障害(多発単神経炎)を特徴とし、CBTや医師国家試験では顕微鏡的多発血管炎(MPA)との鑑別や、肺病変を伴わない点が頻出の重要疾患である。