肝腎症候群は、重篤な肝疾患(非代償性肝硬変や劇症肝炎など)の経過中に、腎臓自体には器質的な異常がないにも関わらず、急激な腎機能低下(機能的腎不全)をきたす予後不良な病態である。
最終更新日: 2026年5月31日
肝腎症候群は、重篤な肝疾患(非代償性肝硬変や劇症肝炎など)の経過中に、腎臓自体には器質的な異常がないにも関わらず、急激な腎機能低下(機能的腎不全)をきたす予後不良な病態である。
重症肝不全の症状:難治性腹水、黄疸、肝性脳症。
腎不全の症状:乏尿、無尿、浮腫。
診断基準(ICA基準など):
①肝硬変(および腹水)の存在。
②血清クレアチニン(Cr)の急激な上昇。
③『利尿薬の中止およびアルブミン投与による循環血漿量の拡大を少なくとも2日間行っても、血清Crが改善しない』。
④ショックがないこと、腎毒性薬剤の使用がないこと。
⑤器質的腎疾患の除外(尿蛋白陰性、微小血尿なし、エコーで腎正常)。
内科的治療(移植までのブリッジング):
血管収縮薬(テルリプレシンやノルアドレナリン)+アルブミンの静注。内臓血管をキュッと締めて、腎臓へ血流を回す。
血液浄化療法:透析(急性期の対症療法)。
外科的治療(根治):『肝移植』。
病態
門脈圧亢進症により、一酸化窒素(NO)などが過剰に産生され、内臓血管(腸管の血管など)が著しく拡張する。これにより全身を巡る「有効循環血液量」が減少するため、腎臓が「血が足りない!」と勘違いして、レニン・アンジオテンシン系などを活性化させ腎血管を強烈に収縮させる。結果として、腎臓への血流が極端に減少し、尿が作れなくなる。
試験・臨床での重要ポイント
『腎臓そのものは悪くない(器質的異常なし)』という点が全て。
そのため、診断基準には「超音波で腎臓に異常がない」「尿蛋白や血尿などの所見がない(正常)」ことが含まれる。
また、単なる脱水との鑑別として、『利尿薬を中止してアルブミンを輸液(ボリューム負荷)しても、腎機能が改善しない』ことが確認できれば肝腎症候群と診断される。根本治療は肝移植しかない。
覚え方・コツ
「肝腎症候群は『肝臓が悪すぎて、腎臓が血流不足でストライキを起こした状態』!腎臓自体はキレイなのに、肝臓のせいで全身の血の巡りが狂って腎臓に血が行かなくなる。点滴で水(アルブミン)を補充してもオシッコが出ない(治らない)のが絶望のサイン!こうなったら肝臓を取り替える(肝移植)しか助かる道はない!」
下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。