最終更新日: 2026年4月16日
アスクレピアで深掘りする膜性腎症(MN)は、成人の原発性ネフローゼ症候群の原因として最も頻度が高い疾患である。糸球体基底膜の上皮側に免疫複合体が沈着し、基底膜が肥厚することで大量の蛋白尿を来す。中高年に好発し、悪性腫瘍などを背景とする二次性のものが含まれるため全身検索が必須である。CBTや医師国家試験では、特徴的な病理所見(スパイク形成など)や、微小変化型(MCNS)との鑑別が毎年問われる超頻出疾患である。
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膜性腎症(MN)は、成人の原発性ネフローゼ症候群の原因として最も頻度が高い疾患である。糸球体基底膜の上皮側に免疫複合体が沈着し、基底膜が肥厚することで大量の蛋白尿を来す。中高年に好発し、悪性腫瘍などを背景とする二次性のものが含まれるため全身検索が必須である。CBTや医師国家試験では、特徴的な病理所見(スパイク形成など)や、微小変化型(MCNS)との鑑別が毎年問われる超頻出疾患である。
浮腫(下肢などのむくみ。MCNSと比べると緩徐に進行する)
体重増加
泡立つ尿
全身倦怠感
※血尿は伴わないことが多い。
※二次性の場合は、基礎疾患(悪性腫瘍や膠原病など)の症状が先行・随伴する。
初期評価
成人の徐々に進行する浮腫や、健診での高度蛋白尿から疑う。中高年では必ず悪性腫瘍(胃カメラ、大腸カメラ、CTなど)や感染症(HBVなど)、膠原病のスクリーニングを行う。
検査
尿検査で高度の蛋白尿を確認し、血液検査で低アルブミン血症と高LDLコレステロール血症を確認する。蛋白の選択性は低く、非選択的蛋白尿(SI≧0.1)を示す。近年は血清抗PLA2R抗体の測定も診断や疾患活動性の評価に有用である。
病理所見(腎生検が必須)
光学顕微鏡(PAM染色)で「基底膜の肥厚」と「スパイク形成(spike and dome外観)」を認める。蛍光抗体法(IF)で毛細血管壁に沿った「IgGとC3の顆粒状沈着(granular pattern)」を認める。電子顕微鏡で「上皮下(subepithelial)の高電子密度沈着物(HED)」を認める。
鑑別
微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS:小児、急激な発症、選択的蛋白尿、ステロイド著効、光顕異常なし)、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS:血尿や高血圧を伴う、光顕で分節性硬化)、糖尿病性腎症と鑑別する。
初期対応
浮腫に対して塩分制限と利尿薬の投与を行う。血栓症のリスクが非常に高いため、ネフローゼ状態が強い場合は抗凝固薬(ワルファリンやDOACなど)の予防的投与を検討する。
根本治療
二次性の場合は、原因疾患(悪性腫瘍など)の治療や原因薬剤の中止を最優先に行う。特発性の場合、約3割は自然寛解するため、まずはACE阻害薬やARBなどの降圧薬(尿蛋白減少作用がある)を用いた保存的加療で経過をみる。ネフローゼ状態が持続し腎機能悪化のリスクが高い場合は、副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)と免疫抑制薬(シクロスポリンやミゾリビンなど)の併用療法を行う(ステロイド単独では効果が乏しいため)。
病態
糸球体基底膜(GBM)の「上皮細胞側」に、抗体と抗原からなる免疫複合体が沈着し、これを取り囲むように基底膜の成分が増生して基底膜全体が肥厚する。これによりサイズバリアが破綻し、非選択的な蛋白尿が生じる。
原因
約7〜8割が特発性(一次性)であり、近年その多くで血中抗PLA2R抗体が陽性となることが判明している。残り2〜3割は二次性であり、悪性腫瘍(胃癌、肺癌、大腸癌など)、感染症(B型肝炎、マラリア)、膠原病(SLE、関節リウマチ)、薬剤(ブシラミン、D-ペニシラミン)などが原因となる。
分類
一次性(特発性)膜性腎症と二次性膜性腎症に分類される。
試験での重要ポイント
「中高年のネフローゼ症候群」であればまず本疾患を疑い、「悪性腫瘍のスクリーニング検索」を行うことが最重要。病理検査では、PAM染色での「スパイク形成(基底膜の肥厚ととげ状突起)」、蛍光抗体法(IF)での「IgG・C3の顆粒状沈着(granular pattern)」、電子顕微鏡での「上皮下(subepithelial)の高電子密度物質(HED)沈着」の3点セットが超頻出。また、微小変化型(MCNS)と異なり「非選択的蛋白尿」であり、「ステロイドが効きにくい(ステロイド抵抗性)」点や、ネフローゼ症候群の中でも特に「腎静脈血栓症」などの血栓塞栓症を合併しやすい点がよく問われる。
覚え方・コツ
「MNは中高年のガン(悪性腫瘍)チェック。膜が分厚くトゲトゲ(スパイク)、IgG・C3つぶつぶ(顆粒状)。ステロイド効きにくく、血栓(腎静脈)に注意」と覚える。
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微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)は、小児の原発性ネフローゼ症候群の大部分を占める疾患である。急激に発症する高度の蛋白尿と全身性浮腫を特徴とする。光学顕微鏡では糸球体に異常を認めないが、電子顕微鏡でポドサイト(上皮細胞足突起)の癒合・消失を認める。ステロイドが著効するが再発しやすく、CBTや医師国家試験の小児科・腎臓分野において毎年問われる超頻出疾患である。
急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は、数週から数ヶ月の短い期間で急速に腎機能が低下し、末期腎不全に至る予後不良の疾患群である。病理学的に糸球体に「半月体」を形成するのが特徴である。CBTや医師国家試験では、ANCA関連血管炎などの原因疾患の鑑別や、ステロイドパルスを中心とする強力な初期治療が毎年問われる超頻出疾患である。
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は、糸球体基底膜の肥厚とメサンギウム細胞の増殖を特徴とする難治性の糸球体疾患である。蛋白尿と血尿が同時にみられ、ネフローゼ症候群と腎炎の両方の性質を持つ。C型肝炎ウイルス(HCV)感染に合併しやすく、CBTや医師国家試験では特徴的な病理所見(軌道状・二重輪郭)や低補体血症が毎年問われる頻出疾患である。
アルポート症候群は、IV型コラーゲンの遺伝子変異により、腎臓、内耳、眼の基底膜に異常を来す遺伝性疾患である。幼児期からの血尿で発症し、進行性の腎機能障害、感音難聴、眼合併症(円錐水晶体など)を特徴とする。大部分がX連鎖遺伝であり、CBTや医師国家試験では、電子顕微鏡での基底膜の「網目状(basket-weave)変化」や、男児の難聴・血尿の家族歴が頻出である。