Menetrier病は、原因不明(一部TGF-αなどの過剰発現)により胃底腺の粘液細胞が過形成を起こし、胃のひだ(巨大皺襞)が異常に肥厚する疾患である。大量の粘液分泌に伴いタンパク質が胃内へ漏出し、低タンパク血症(浮腫)をきたす。
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低タンパク血症による症状:全身の浮腫、腹水、胸水、体重増加(または減少)
消化器症状:上腹部痛、悪心・嘔吐、食欲不振、消化管出血(まれに粘膜のびらんから)
※小児例ではサイトメガロウイルス(CMV)等の感染に関連し、一過性で自然軽快することが多い。
初期評価
原因不明の低アルブミン血症・浮腫(ネフローゼ症候群や肝硬変を除外)を認めた患者において、胃に巨大皺襞を発見した場合に疑う。
検査
『上部消化管内視鏡検査』で胃体部を中心とした著明な巨大皺襞(送気しても伸展しない)を確認する。粘膜生検(深部まで採取するスネア生検が望ましい)で小窩の過形成と固有腺の萎縮を証明し、悪性腫瘍(スキルス胃癌等)を除外する。α1-アンチトリプシン・クリアランス試験で消化管からのタンパク漏出を証明する。
治療方針
特異的な治療法は確立していない。低タンパク血症に対しては高タンパク食の指導や、対症的に抗コリン薬、H2ブロッカー、PPIなどを使用する。H. pylori感染が陽性の場合は除菌により軽快することがある。近年、原因とされるEGFRシグナルを抑えるセツキシマブ(抗EGFR抗体)の有効性が報告されている。重篤な低タンパク血症や悪性化の懸念が強い難治例では、胃全摘術が行われる。
病態
胃体部から胃底部にかけての粘膜上皮(表層粘液細胞や副細胞)が著しく増殖し、胃小窩が深く延長して巨大なヒダを形成する。一方で、胃酸を作る壁細胞やペプシノーゲンを作る主細胞は萎縮・減少するため『低酸症〜無酸症』となる。粘膜から血清タンパク(アルブミンなど)が胃液中へ大量に漏れ出し、『蛋白漏出性胃腸症』の原因となる。
試験・臨床での重要ポイント
「中年男性」が「原因不明の全身のむくみ(浮腫:低タンパク血症による)」で受診し、上部消化管内視鏡や胃X線造影検査で『脳のシワのように太くうねった巨大な胃粘膜ヒダ(巨大皺襞)』を発見されるエピソードが定番。スキルス胃癌や悪性リンパ腫との鑑別が重要である。
覚え方・コツ
「Menetrier病は、胃のシワ(ヒダ)が脳ミソみたいに巨大化する病気!分厚いシワからタンパク質がダダ漏れになり(蛋白漏出性胃腸症)、血のアルブミンが減って全身がパンパンにむくむ(浮腫)。胃酸は逆に出なくなる(無酸症)。」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。