医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。
前駆症状:発熱、咽頭痛、咳、全身倦怠感、下痢(感冒・胃腸炎症状)。
心症状:胸痛、動悸(致死性不整脈)、呼吸困難。
劇症型:急激な血圧低下、冷汗、意識消失(心原性ショック)。
血液検査:白血球増多、CRP上昇。CK(CK-MB)、トロポニンTの高値(心筋破壊のサイン)。
心電図:広範なST-T異常、異常Q波、種々の不整脈(完全房室ブロック、心室頻拍など)。
心エコー:びまん性壁運動低下、心室壁の浮腫性肥厚。
心筋生検(確定診断):心筋細胞の壊死と炎症細胞(リンパ球等)の浸潤。
軽症・中等症:心不全に準じた安静と対症療法。不整脈の管理(一時的ペーシングなど)。
劇症型心筋炎:直ちに『PCPS(経皮的心肺補助:VA-ECMO)』および『IABP(大動脈内バルーンパンピング)』を導入し、循環動態を維持する。ステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法が行われることもある。
※回復すれば後遺症なく治癒することも多いが、一部はDCMへ移行する。
病態
コクサッキーB群ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルスB19などの感染後、ウイルス自身の直接障害や、それに対する免疫反応によって心筋細胞が破壊される。
試験・臨床での重要ポイント
『数日前の感冒(風邪)症状や胃腸炎症状』に続き、『胸痛、呼吸困難、失神』で救急搬送されるエピソードが国試の定番。
心電図で広範な『ST上昇(または低下)』を認め、急性心筋梗塞(AMI)と間違われやすいが、冠動脈造影では狭窄がない。
血液検査では心筋逸脱酵素(『CK、トロポニンT』)が著増する。心エコーでは、炎症による浮腫で心室壁が肥厚し、壁運動が著しく低下する。
劇症型に移行した場合、躊躇なく『PCPS(VA-ECMO)+ IABP』を導入して補助循環を行い、心筋の炎症が引くのを待つ。
覚え方・コツ
「心筋炎は『ただの風邪だと思っていたら、心臓が炎症でボロボロになって倒れる超緊急病』!若い人が風邪の数日後にショック状態で運ばれてきたらコレ。心電図は心筋梗塞みたいになるけど血管は詰まっていない。心臓が動かなくなる(劇症型)から、人工心肺(ECMO)を急いで回して心臓の代わりをさせ、炎症が収まるのを祈れ!」
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
完全房室ブロックは、心房からの電気信号が心室に全く伝わらなくなった状態である。心房と心室がそれぞれ独自のペースで収縮(房室解離)し、心室の補充調律による高度な徐脈をきたすため、失神(アダムス・ストークス発作)や心不全の原因となる。