医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
ポイツ・ジェガース(Peutz-Jeghers)症候群は、消化管(特に小腸)に多発する過誤腫性ポリープと、皮膚・粘膜(口唇や指など)のメラニン色素沈着を特徴とする常染色体顕性遺伝(優性遺伝)の疾患である。若年期にポリープが原因で腸重積や消化管出血を来しやすく、消化器や他臓器の癌の発症リスクが高い。CBTや医師国家試験では、特徴的な色素沈着の部位や小腸ポリープ、腸重積との関連が頻出である。
皮膚・粘膜の色素沈着(口唇、口腔頬粘膜、手掌、足底などにみられる1〜5mm大の黒褐色斑。乳幼児期から出現しやすい)
腹痛(ポリープによる通過障害や腸重積による)
消化管出血、下血(ポリープからの出血)
貧血(持続的な出血による鉄欠乏性貧血)
腸重積に伴う嘔吐、腹部腫瘤触知
初期評価
口唇や口腔粘膜、手足の色素沈着を視診で確認する。家族歴の聴取も重要である。若年者の原因不明の腹痛や貧血では本疾患も念頭に置く。
検査
小腸内視鏡検査(カプセル内視鏡やバルーン内視鏡)、上部・下部消化管内視鏡検査、小腸造影などを行い、消化管全域のポリープを評価する。確定診断や大腸癌などとの鑑別のために内視鏡下生検(過誤腫性ポリープの証明)を行う。必要に応じて遺伝子検査(STK11遺伝子変異)を実施する。
鑑別
若年性ポリポーシス(色素沈着なし、大腸に好発)、家族性大腸腺腫症(FAP:腺腫性ポリープが100個以上、色素沈着なし)、Cronkhite-Canada(クロンカイト・カナダ)症候群(非遺伝性、脱毛・爪萎縮・味覚障害を伴う)、Cowden(カウデン)症候群と鑑別する。
初期対応
腸重積を発症した場合は、腹部エコーやCTで診断し、必要に応じて内視鏡的整復または外科的緊急手術(開腹下での用手的整復や腸管切除)を行う。出血による貧血が強ければ鉄剤投与や輸血を行う。
根本治療
根本的な遺伝子治療はないため、対症療法と合併症予防が中心となる。腸重積や出血を予防するため、内視鏡的に大きなポリープを計画的に切除(ポリペクトミー)する。悪性腫瘍(消化管癌、膵癌、乳癌、卵巣癌など)の合併率が高いため、生涯にわたる定期的な全身のサーベイランス(がん検診)が極めて重要である。
病態
第19染色体にあるSTK11遺伝子の変異により生じる。小腸を中心とする消化管全体に多数の過誤腫性ポリープが多発し、粘膜皮膚の色素沈着を伴う。
原因
常染色体顕性遺伝(優性遺伝)であるが、約半数は家族歴のない孤発例(突然変異)である。
分類
家族性大腸腺腫症(FAP)などと並ぶ「消化管ポリポーシス」の一つである。
試験での重要ポイント
「口唇・口腔粘膜・四肢末端(指趾)の色素沈着(小黒褐色斑)」と「小腸のポリープ」があれば本疾患を疑う。ポリープを先進部とした「腸重積」を若年期に発症しやすい点は超頻出である。ポリープの組織型が「過誤腫性(平滑筋束の樹枝状増生を伴う)」である点も重要。また、消化管癌(大腸、胃、膵臓など)や、乳癌、婦人科領域の癌の合併リスクが非常に高い。鑑別でよく出るのは、同じ過誤腫性ポリープであるが色素沈着を伴わず大腸に好発する「若年性ポリポーシス」や、腺腫性で大腸癌リスクが極めて高い「家族性大腸腺腫症(FAP)」である。
覚え方・コツ
「PJ(ポイツ・ジェガース)は、ペチャクチャ(口唇粘膜のシミ)、チョキチョキ(手指のシミ)、小腸の過誤腫で腸重積(常優遺伝)」と覚える。
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。