肺水腫は、肺胞や肺間質に過剰な水分が貯留した状態であり、急激な呼吸困難を引き起こす致死的病態である。左心不全による「心原性肺水腫」と、血管透過性亢進による「非心原性肺水腫(ARDSなど)」に大別される。
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激しい呼吸困難、起坐呼吸(夜間に横になると悪化する)。
ピンク色泡沫状喀痰。
喘鳴(ヒューヒューという音:心臓喘息とも呼ばれる)。
チアノーゼ、頻呼吸、発汗、頻脈。
胸部X線:心拡大(CTR>50%)、蝶形陰影(肺門部中心の浸潤影)、Kerley B線(下肺野外側の水平線状影)、胸水貯留。
聴診:両下背部優位のcoarse crackles、心音(III音の聴取)。
血液検査:BNPまたはNT-proBNPの著増(心原性の場合)。血液ガス分析で低酸素血症。
心エコー:左室駆出率(EF)の低下、弁膜症などの基礎疾患の評価。
呼吸管理:酸素投与、『NPPV(非侵襲的陽圧換気)』により肺胞内圧を上げて漏出を防ぐ。重症例では気管挿管。
薬物療法(心原性):『ループ利尿薬(フロセミド)』の静注で水分を排泄。『血管拡張薬(硝酸薬など)』で心負荷(前負荷・後負荷)を軽減。低血圧・ショックを伴う場合は『強心薬(ドブタミンなど)』を使用する。
病態
最も多い『心原性肺水腫』は、急性心筋梗塞や心不全の増悪により左心室のポンプ機能が低下し、手前の肺静脈圧が上昇することで、血液中の水分が肺胞に漏れ出して生じる。肺が「水浸し」になるため重度のガス交換障害(低酸素血症)をきたす。
試験・臨床での重要ポイント
「起坐呼吸(横になると苦しく、座ると楽になる)」と、血液が混ざった『ピンク色の泡沫状喀痰(ブクブクの泡の痰)』が超頻出キーワード。聴診では両下肺野から『coarse crackles(水泡音:ブツブツという音)』を聴取する。
画像(胸部X線)では、心拡大とともに、肺門部から広がる『蝶形陰影(Butterfly appearance)』や、間質浮腫を示す『Kerley B線』を確認する。
覚え方・コツ
「肺水腫は『肺が水没して溺れている』状態!心臓がヘタって(左心不全)、行き場を失った血の水分が肺に逆流して溢れ出す。水没しているから横になるともっと苦しい(起坐呼吸)。咳をすると肺の水分と血が混ざって『ピンクの泡(泡沫状喀痰)』が出る!治療は『NPPV(マスクの人工呼吸器)』で圧をかけて水を押し返し、『利尿薬(フロセミド)』でオシッコとして水を抜け!」
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I型呼吸不全は、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下に低下しているが、二酸化炭素分圧(PaCO2)は正常または低下(45Torr以下)している状態。主に肺の実質や間質の障害による「酸素化障害」が原因である。
II型呼吸不全は、PaO2が60Torr以下に低下し、かつPaCO2が45Torrを超えて蓄積している状態。気道の閉塞や呼吸筋の低下による「肺胞換気量の低下(息が十分に吐き出せない、吸い込めない)」が主な原因である。
嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の異常により全身の外分泌腺の分泌液が異常に粘稠となる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。白人に多く日本人には極めて稀。気道感染の反復による呼吸不全と、膵外分泌不全による消化・吸収不良が二大症状となる。
CO2ナルコーシスは、慢性的に高CO2血症がある患者(主に重症COPD)に対し、不適切に高濃度の酸素を投与した結果、呼吸中枢が抑制されてさらにCO2が蓄積し、重篤な意識障害や呼吸停止に陥る医原性の病態である。