ラムゼイ・ハント症候群は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化により、顔面神経と内耳神経が障害される疾患。「耳介の帯状疱疹(水疱)」「顔面神経麻痺」「内耳神経症状(難聴・めまい)」の三徴が特徴である。
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耳症状:耳介・外耳道の激しい疼痛、発赤、水疱(帯状疱疹)。
顔面神経麻痺:末梢性顔面神経麻痺(額のしわ寄せ不可、眼瞼閉鎖不全[兎眼]、口角の下垂、味覚障害、涙液・唾液分泌低下)。
内耳神経症状:感音難聴、耳鳴り、回転性めまい、眼振。
※水疱が出現しないタイプ(zoster sine herpete)もあるため注意。
初期評価
片側性の顔面神経麻痺と耳の痛み・めまいを訴える患者に対し、耳介や外耳道・軟口蓋の水疱を視診で確認する。
検査
純音聴力検査で感音難聴を確認。眼振検査。血液検査でVZVのIgM抗体陽性やペア血清でのIgG抗体価上昇。水疱内容物のTzanck試験(巨細胞の確認)やVZV抗原・PCR検査。
治療方針
発症後なるべく早期(できれば3日以内)に『抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル等の点滴・内服)』と『副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン等)』の併用療法を開始することが、麻痺の改善と後遺症防止に極めて重要である。角膜乾燥を防ぐための点眼・眼帯や、星状神経節ブロックなども行われる。
病態
過去に感染した水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、顔面神経の膝神経節に潜伏感染しており、過労や免疫力低下を契機に再活性化する。炎症が顔面神経(第VII脳神経)から隣接する内耳神経(第VIII脳神経)にも波及する。
試験・臨床での重要ポイント
『三徴(耳介や外耳道の水疱、顔の片側が動かない顔面神経麻痺、耳鳴り・難聴・めまい)』の組み合わせが超定番エピソードである。単純ヘルペスウイルス等が原因のベル麻痺(Bell麻痺)と比べて『麻痺が重症(治りにくい)』であり、めまいや難聴を伴う点が最大の鑑別ポイント。治療の遅れは不可逆的な後遺症を残すため、早期の抗ウイルス薬投与が必須。
覚え方・コツ
「ハント症候群は、耳の中に潜んでいた水疱瘡ウイルス(VZV)のテロ攻撃!『耳の水ぶくれ』『顔の麻痺』『めまい・難聴』の3点セット。ただの顔面神経麻痺(ベル麻痺)よりタチが悪くて治りにくいから、見つけたらソッコーで抗ウイルス薬(アシクロビル)とステロイドを打て!」
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。