WPW症候群は、心房と心室の間に正常な刺激伝導系(房室結節)とは別の副伝導路(ケント束)が存在する先天性疾患である。普段は無症状だが、発作性上室頻拍(PSVT)や心房細動(Af)を合併すると激しい動悸を来す。CBTや医師国家試験では、心電図のデルタ波や、発作時の治療(特に禁忌薬)が毎年問われる超頻出疾患である。
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無症状(健診の心電図異常で発見されることが多い)
突然の激しい動悸(頻拍発作時。突然始まり、突然終わるのが特徴)
胸部不快感、息切れ
失神、めまい(心拍数が極端に上がり、脳への血流が低下した重症例)
初期評価
健診での心電図異常の指摘や、突然の動悸エピソードから疑う。
検査
12誘導心電図で、洞調律時の「PR短縮、Δ波、QRS幅拡大」を確認する。発作時には頻拍の心電図波形を確認する(PSVT合併時は規則正しい狭いQRS波、Af合併時は不規則で広いQRS波となることが多い)。確定診断や治療方針決定のため、電気生理学的検査(EPS)によりケント束の位置や伝導特性を評価する。
鑑別
他の不整脈:房室結節回帰性頻拍(AVNRT:デルタ波がない)、心室頻拍(VT:真のVTと偽性VTの鑑別は緊急時に重要)、心房細動(単独)と鑑別する。
無症状の場合
原則として経過観察(治療不要)。ただし、パイロットなど特定の職業では無症状でもアブレーションが推奨されることがある。
発作時(PSVT合併時)
迷走神経刺激(息こらえ、冷水洗顔など)、ATP急速静注、またはカルシウム拮抗薬(ベラパミル)の静注を行う。
発作時(Af合併時=偽性VT)
血行動態が安定していれば、ケント束の伝導を抑える抗不整脈薬(プロカインアミド、ジソピラミド静注など)を使用する。血行動態が不安定(血圧低下や意識障害)なら、直ちに「直流除細動(DC)」を行う。※房室結節抑制薬は絶対禁忌。
根本治療
不整脈発作を繰り返す場合、カテーテルを用いてケント束を高周波で焼き切る「カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)」が第一選択であり、根治が可能である。
病態
正常なルート(房室結節)とは別に、心房と心室を直接つなぐ「ケント束(Kent束)」というバイパスが存在する。ケント束は房室結節のような伝導遅延(タメ)がないため、心室の一部が早期に興奮する(プレエキサイテーション)。また、この2つのルート間で興奮が旋回(リエントリー)すると、発作性上室頻拍(AVRT:房室回帰性頻拍)を引き起こす。
原因
先天性の構造異常である。エプスタイン奇形に合併しやすい。
試験での重要ポイント
心電図の「PR間隔短縮(0.12秒未満)」、「Δ(デルタ)波の存在」、「QRS幅の拡大」の3点セットは画像問題の定番。WPW症候群に心房細動(Af)を合併した「偽性心室頻拍(偽性VT)」の治療において、ジギタリス、ベラパミル(カルシウム拮抗薬)、β遮断薬などの房室結節抑制薬は「禁忌」である(房室結節がブロックされると、すべての興奮がケント束を通って心室に伝わり、致死的な心室細動に移行する危険があるため)。治療にはプロカインアミドなどのNaチャネル遮断薬(Ia群、Ic群)を用いるか、血行動態が不安定なら直流除細動(DC)を行う。根治術である「カテーテルアブレーション」も頻出。
覚え方・コツ
「WPWはケント君(ケント束)。Pのあとすぐデルタ波。Af合併でジギバサミ(ジギタリス、ベラパミル、β遮断薬)は禁忌(切っちゃダメ)!」と覚える。
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