リドカインはアミド型局所麻酔薬で、電位依存性Naチャネルを遮断して神経伝導を抑制する。局所・区域麻酔に加え、心室性不整脈の治療にも用いられる。
キシロカイン
局所麻酔薬
神経細胞膜の内側から電位依存性Naチャネルに結合し、不活性化状態を安定化することでNa+流入を抑制し、活動電位の発生・伝導を可逆的に遮断する。使用頻度依存性(use-dependent block)を示し、頻繁に興奮する神経や心筋ほど強く作用する。局所麻酔では細い有髄線維(Aδ線維)や無髄線維(C線維)が優先的に遮断されるため、一般に痛覚→温度覚→触覚→圧覚→運動の順に消失する。静脈投与では心筋Naチャネルを遮断し、虚血心筋における異所性自動能を抑制することで心室性不整脈を改善する。
表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔、神経ブロック、硬膜外麻酔など幅広い局所麻酔に使用される。アドレナリン添加製剤は作用時間延長と吸収抑制を目的として用いられる。静脈内投与ではIb群抗不整脈薬として急性心筋梗塞後や心臓手術後の心室性頻拍・心室性期外収縮などの心室性不整脈に使用されることがある。局所麻酔では総投与量、注射速度、血管内誤注入の回避が極めて重要である。
局所麻酔薬中毒(LAST:Local Anesthetic Systemic Toxicity)が最も重要な副作用である。初期には口周囲のしびれ、舌の違和感、金属味、耳鳴、めまい、視覚異常、不安感が出現し、進行すると痙攣、意識障害、呼吸抑制へ至る。さらに重症例では低血圧、徐脈、房室ブロック、心室頻拍、心室細動、心停止など重篤な循環障害を起こす。まれにアレルギー反応やメトヘモグロビン血症を生じることがあるが、後者はプリロカインやベンゾカインでより多くみられる。
アミオダロンや他の抗不整脈薬との併用では刺激伝導抑制作用が増強する可能性がある。β遮断薬やシメチジンは肝血流量やCYP代謝を低下させ、リドカイン血中濃度を上昇させることがある。他の局所麻酔薬やNaチャネル遮断薬との併用では中枢神経毒性・心毒性が加算される。重症の局所麻酔薬中毒では速やかに脂肪乳剤(20%脂肪乳剤)によるLipid Rescue療法を開始する。
アミド型局所麻酔薬に対する過敏症の既往がある患者では禁忌である。重篤な刺激伝導障害(高度房室ブロック・洞不全症候群など)でペースメーカーを装着していない患者では慎重投与または禁忌となる。硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔では穿刺部位感染、敗血症、重篤な凝固異常、ショック、頭蓋内圧亢進なども禁忌となる。アドレナリン添加製剤は指趾・陰茎・鼻尖・耳介など終末動脈領域では虚血の危険があるため原則避ける。
リドカイン(キシロカイン)は『アミド型局所麻酔薬』『電位依存性Naチャネル遮断』『使用頻度依存性』『Ib群抗不整脈薬』『肝代謝』が最重要キーワードである。エステル型局所麻酔薬(プロカインなど)が血漿コリンエステラーゼで代謝されるのに対し、リドカインは肝代謝を受ける点を区別して覚える。局所麻酔薬中毒では『口周囲しびれ→耳鳴→痙攣→循環虚脱』という進行を理解し、重症例では脂肪乳剤(Lipid Rescue)が標準治療であることは国家試験・CBT頻出事項である。また、Ib群抗不整脈薬として虚血性心疾患に伴う心室性不整脈に使用される点も重要である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。