眼瞼浮腫は、眼瞼周囲の皮下組織に液体が貯留して腫脹した状態である。腎疾患、アレルギー、感染、甲状腺眼症、局所静脈・リンパ障害などで生じる。
身体徴候
眼瞼浮腫(eyelid edema)は、眼瞼の皮下組織が疎で水分を貯留しやすいことから生じる身体所見である。全身性浮腫では毛細血管内静水圧の上昇、血漿膠質浸透圧の低下、Na・水貯留などにより組織間液が増加し、特に起床時に眼瞼へ浮腫が現れやすい。ネフローゼ症候群や急性糸球体腎炎では朝方の両側性眼瞼浮腫が典型的である。アレルギーではヒスタミンなどによる血管透過性亢進、眼瞼蜂窩織炎・眼窩蜂窩織炎では炎症性浮腫、甲状腺眼症では自己免疫性炎症とムコ多糖蓄積による眼窩内容積増加が原因となる。心不全、肝硬変、低アルブミン血症、血管性浮腫(遺伝性・ACE阻害薬関連)なども重要な原因である。
片側性か両側性か、急性発症か慢性経過か、朝と夕方での変化、疼痛、掻痒感、発赤、熱感、発熱、視力低下、複視、眼球運動痛、流涙、眼脂の有無を確認する。全身診察では四肢浮腫、体重増加、血圧、尿量、尿蛋白、頸静脈怒張、皮膚発疹、甲状腺腫、眼球突出などを評価する。必要に応じて尿検査、血清アルブミン、腎機能、甲状腺機能、炎症反応を測定し、眼球運動障害や視機能異常を認める場合は眼科的評価およびCT・MRIを速やかに行う。
両側性で朝方に目立つ眼瞼浮腫はネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、低アルブミン血症など全身性疾患をまず考える。アレルギー性結膜炎や血管性浮腫では掻痒感、流涙、蕁麻疹を伴うことが多い。眼瞼蜂窩織炎では眼瞼の発赤・腫脹・圧痛を認めるが、視力や眼球運動は保たれる。一方、眼窩蜂窩織炎では発熱、眼球運動痛、眼球突出、複視、視力障害を伴い緊急対応を要する。甲状腺眼症では眼球突出、上眼瞼後退、複視、甲状腺機能異常を認める。心不全では下腿浮腫や呼吸困難、肝硬変では腹水や黄疸を伴うことが多い。
片側性眼瞼浮腫に発熱、眼球運動痛、眼球突出、複視、視力低下、RAPD(相対的求心路瞳孔障害)を伴う場合は眼窩蜂窩織炎を強く疑い、緊急の造影CT・MRIと眼科・耳鼻科コンサルトが必要である。急速に進行する口唇・舌・咽頭浮腫、嗄声、呼吸困難、喘鳴、蕁麻疹を伴う場合はアナフィラキシーまたは血管性浮腫として直ちに気道確保と救急対応を行う。高度の高血圧、血尿、乏尿を伴う場合は急性糸球体腎炎、著明な蛋白尿と全身浮腫を伴う場合はネフローゼ症候群を考慮する。
眼瞼浮腫では『朝方に目立つ両側性=腎疾患(ネフローゼ症候群・急性糸球体腎炎)』をまず想起することが重要である。『眼球運動痛・視力低下・眼球突出』は眼窩蜂窩織炎のred flagであり、単純な眼瞼蜂窩織炎との鑑別点となる。『掻痒感・流涙』はアレルギー、『眼球突出・上眼瞼後退』は甲状腺眼症、『口唇・舌腫脹』は血管性浮腫を示唆する。国家試験・CBTでは眼瞼浮腫とネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、眼窩蜂窩織炎、甲状腺眼症の鑑別が頻出である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。