医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
急性胆嚢炎は、主に胆嚢結石が胆嚢管に嵌頓(詰まること)することで胆汁がうっ滞し、細菌感染を伴って胆嚢に急性の炎症が生じる疾患である。右季肋部痛、発熱、Murphy徴候が特徴であり、早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準治療となる。
右季肋部痛(心窩部痛から始まり、右季肋部に限局することがある)
発熱(悪寒・戦慄を伴うことがある)
悪心・嘔吐
右季肋部の圧痛、筋性防御、Murphy徴候陽性
※無石性胆嚢炎の場合は、集中治療中の患者などで原因不明の発熱・炎症反応上昇として発見されることが多い。
初期評価
食後(特に脂肪食後)に発症した右季肋部痛と発熱、Murphy徴候から強く疑う。
検査
血液検査で白血球増多、CRP上昇。AST、ALT、ALPなどは軽度上昇に留まることが多い。
『腹部超音波検査』が最も重要(壁肥厚、腫大、結石、sonographic Murphy sign)。
腹部造影CT検査で、胆嚢周囲の脂肪織の濃度上昇(炎症波及)や、膿瘍・穿孔・気腫性胆嚢炎などの合併症の有無を評価する。
治療方針
診断がつけば、絶食、十分な輸液、抗菌薬(第2世代セフェム系、ペニシリン系など)の静脈内投与、鎮痛薬による初期治療を直ちに開始する。
外科的・インターベンション治療
TG18(急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン)等に基づき重症度を判定する。全身状態が許せば、早期(発症から理想的には72時間以内)の『腹腔鏡下胆嚢摘出術(Lap-C)』が第一選択となる。
重症例(臓器障害を伴う場合など)や、併存疾患により手術ハイリスクな患者の場合は、まず『経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)』を行って胆嚢内の膿を体外に排出し、炎症が落ち着いてから待機的に手術を行う。
病態
原因の約90%は胆石による胆嚢管の閉塞(結石性胆嚢炎)である。残りの10%は結石を伴わない無石性胆嚢炎であり、重症外傷、広範囲熱傷、長期の経静脈栄養(TPN)などの重篤な基礎疾患を持つ患者に発症しやすく、壊死や穿孔を起こしやすいため予後不良である。
試験・臨床での重要ポイント
右季肋部を圧迫したまま深呼吸させると、痛みのため吸気が途中で止まる『Murphy(マーフィー)徴候』が超頻出のキーワード。
画像診断の第一選択は『腹部超音波(エコー)検査』であり、胆嚢の腫大、胆嚢壁の肥厚、胆嚢内の結石エコー(後方音響陰影:acoustic shadowを伴う)、デブリ(胆泥)を確認する。
総胆管結石を合併していなければ、通常は著明な黄疸はみられない(黄疸があれば急性胆管炎の合併を疑う)。
覚え方・コツ
「急性胆嚢炎は『右のあばらの下の激痛+熱』!原因のほとんどは胆石。お腹を押さえながら息を吸わせると『痛っ!』と息が止まるマーフィー徴候が有名。エコーで『分厚くなった胆嚢の壁』と『石』を探せ!治療はなるべく早くカメラ(腹腔鏡)で胆嚢ごと取ってしまう!」
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。