医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意(集中力がない、ミスが多い)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつくとすぐ行動する)を特徴とする神経発達症である。前頭前野を中心としたドパミンやノルアドレナリンの機能不全が関与している。CBTや医師国家試験では、DSM-5の診断基準(12歳以前の発症)、合併症(ASD、LD)、および薬物療法の作用機序の使い分けが頻出である。
不注意:ケアレスミスが多い、集中が持続しない、片付けが苦手、物をよくなくす、約束を忘れる。
多動性:手足をもじもじする、席を離れる、静かに遊べない、しゃべりすぎる。
衝動性:質問が終わる前に答え始める、順番を待てない、他人の行動を妨害する。
成人期:多動は「内面的な落ち着かなさ」へ変化。不注意による仕事のミスや遅刻、衝動的な購買・転職などが目立つ。
初期評価
小児では学校での様子、成人では幼少期の通信簿やエピソード(12歳以前の症状確認)を聴取する。他疾患(甲状腺機能亢進症、てんかん、双極性障害など)を除外する。
検査
心理検査(WISC-IV/V、WAIS-IV)によるIQと認知特性の評価。ADHD特異的な評価スケール(CAARS、ASRS、Conners 3)を用いて症状を定量化する。※画像検査(MRI)や脳波は診断の補助(除外診断)として行われるが、確定診断には至らない。
鑑別
自閉スペクトラム症(ASD:しばしば合併する)、学習症(LD)、双極性障害(躁状態との鑑別)、不安障害、反応性アタッチメント障害と鑑別する。
心理社会的治療・環境調整(第一選択)
構造化(気が散らないよう机の周りを整理する)、スモールステップ(大きな課題を細分化する)、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行う。
薬物療法(中等症以上で適応)
メチルフェニデート(コンサータ):DAT・NET阻害薬。速効性がある。依存性の懸念から登録医のみ処方可能。副作用は食欲不振、不眠、頻脈。
アトモキセチン(ストラテラ):選択的NET阻害薬。依存性がない。効果発現まで2〜4週間かかる。副作用は悪心、肝機能障害。
グアンファシン(インチュニブ):選択的α2A受容体作動薬。後シナプスの情報伝達を効率化する。副作用は傾眠(眠気)、血圧低下(徐脈)。
病態
脳内の報酬系(線条体)や実行機能(前頭前野)におけるドパミン(DA)およびノルアドレナリン(NA)の伝達不足が主因とされる。遺伝的要因が強く関与し、家族内発症も多い。
診断基準(DSM-5)
「不注意」と「多動・衝動性」の各項目(小児は6項目以上、17歳以上は5項目以上)が、2つ以上の状況(学校と家庭など)で6ヶ月以上持続し、社会生活に支障がある場合に診断する。重要なのは「いくつかの症状が12歳以前に存在していたこと」である。
試験での重要ポイント
薬物療法の第一選択を問う問題が非常に多い。まず「環境調整(刺激を減らす、タスクの視覚化など)」や「心理社会的治療」を優先し、効果不十分な場合に薬物療法を行う。主要な3剤(メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン)の機序と副作用(MPH:食欲不振・不眠、ATX:肝機能障害、GXR:血圧低下・眠気)の区別が最重要。また、成人期になると多動性が目立たなくなり、不注意によるケアレスミスや期限遅守が主訴となる「成人期ADHD」の病態も頻出である。
覚え方・コツ
「ADHDは12歳(12歳未満で発症)。不注意なミスはドパミン不足。アトモ(アトモキセチン)はNA(ノルアドレナリン)だけ。メチル(メチルフェニデート)はDAもNAも。インチュ(インチュニブ=グアンファシン)は受容体(α2A)を直接。依存があるならメチルはダメ(コンサータは登録制)」と覚える。
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