自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的コミュニケーションおよび対人相互反応の持続的な欠陥と、行動・興味・活動の限定された反復的な様式を特徴とする神経発達症である。かつての自閉症、アスペルガー症候群などが統合された概念である。CBTや医師国家試験では、DSM-5の診断基準(2つの主要領域)、感覚過敏、ADHDとの合併、および療育や環境調整の重要性が毎年問われる超頻出疾患である。
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社会的コミュニケーションの障害:視線が合わない、指差しをしない(共同注視の欠如)、言葉の遅れ、比喩や皮肉が通じない(字義通りに受け取る)、年齢相応の友人関係が築けない。
限定された反復的な行動:手をひらひらさせる(常同行動)、道順や手順への強いこだわり(予定の変更でパニックになる)、特定の興味対象(電車、数字、カレンダーなど)への異常な執着。
感覚過敏・鈍麻:特定の音(掃除機やサイレン)にパニックを起こす(聴覚過敏)、特定の肌触りの服を嫌がる(触覚過敏)、極端な偏食(味覚過敏)、痛みへの鈍感さ。
初期評価
乳幼児健診(1歳半健診や3歳児健診)における「指差しをしない」「視線が合わない」「名前を呼んでも振り向かない」などの保護者の訴えや保健師の指摘から疑う。
検査
M-CHAT(乳幼児期のスクリーニング)、CARS、ADOS-2(観察評価)、ADI-Rなどの標準化された評価ツールを用いる。聴力障害(難聴が言葉の遅れの原因でないことの確認)や知的発達症の評価(新版K式発達検査やWISCなど)も必須である。
鑑別
注意欠如・多動症(ADHD:合併することも多い)、限局性学習症(LD)、愛着障害(反応性アタッチメント障害)、知的発達症単独と鑑別する。
初期対応・環境調整(第一選択)
根本的な薬物治療はないため、「療育(発達支援)」と「環境調整」が基本となる。視覚的支援(スケジュールを絵カードで提示する)、感覚刺激の調整(イヤーマフの使用、刺激の少ない静かな環境の提供)、パニック時のクールダウン場所の確保を行う。
心理社会的アプローチ
応用行動分析(ABA)、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、TEACCHプログラムなどを用いて、社会適応能力を高め、不適応行動を減らすための支援を行う。保護者へのペアレント・トレーニングも重要である。
薬物療法(対症療法)
ASDの中核症状を治す薬はない。ただし、易刺激性(激しいかんしゃく、パニック、自傷・他害行動)が著しく、環境調整のみでは対応困難な場合に限り、非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、リスペリドン)を対症的に投与する。
病態
脳の神経発達の多様性により、他者の感情や意図を推測すること(心の理論)の困難さや、特定の事物への強いこだわりを示す。
診断基準の変遷
DSM-IVまで存在した「自閉症(言葉の遅れあり)」「アスペルガー症候群(言葉の遅れなし)」などの区分は撤廃され、症状の連続体(スペクトラム)として「ASD」に統一された。
試験での重要ポイント
DSM-5の中核症状である「①社会的コミュニケーションと対人相互反応の障害(空気が読めない、視線が合わない、相互の対話が困難)」と「②限定された反復的な行動様式(常同行動、ルーティンへの強い固執、感覚過敏・鈍麻)」の2大症状は絶対暗記。約70%に他の神経発達症(ADHDや限局性学習症)を合併する。また、乳幼児健診(1歳半健診など)での「共同注視(指差しなど)の欠如」や「呼名反応の乏しさ」を契機に発見されるエピソードも頻出である。
覚え方・コツ
「ASDはスペクトラム(連続体)。①コミュ障(対人関係の障害)と、②こだわり(反復的行動・感覚過敏)の2本立て。言葉の遅れがないアスペも今はASD!」と覚える。
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