良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、内耳の耳石が剥がれ落ちて半規管に迷入することで起こる、末梢性めまいの最も一般的な原因疾患である。寝返りなどの特定の頭部運動時に、数十秒程度の激しい回転性めまいが生じる。CBTや医師国家試験では、メニエール病との鑑別、特徴的な眼振所見、Dix-Hallpike試験やEpley法などの診断・治療手技が毎年問われる超頻出疾患である。
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特定の頭位変換(寝返り、起床、見上げ・見下ろしなど)に伴う激しい回転性めまい
めまいの持続時間は短い(通常10〜20秒程度、長くても1分以内)
悪心・嘔吐(めまいに伴う自律神経症状)
※難聴、耳鳴り、耳閉感(蝸牛症状)や、構音障害・運動麻痺(中枢神経症状)は「伴わない」。
初期評価
特定の頭位変換で誘発される短時間のめまいであること、および難聴・耳鳴りなどの蝸牛症状がないことを問診で確認する。
検査
頭位・頭位変換眼振検査を実施する。後半規管型を疑う場合は「Dix-Hallpike試験」を行い、患側を下にした懸垂頭位で「潜時と疲労現象を伴う回旋性上向性眼振」を確認する。水平半規管型を疑う場合は「仰臥位頭部回旋検査(Supine roll test)」で方向交代性眼振を確認する。※純音聴力検査では異常を認めない。
鑑別
メニエール病(難聴・耳鳴りを伴う、めまいが数十分〜数時間持続)、前庭神経炎(風邪症状の先行、特定の頭位に関わらず激しい回転性めまいが数日〜数週間持続)、中枢性めまい(脳梗塞・小脳出血など。構音障害などを伴い、眼振の疲労現象がない)と鑑別する。
初期対応
めまいや悪心が強い急性期には、頭部を安静に保ち、抗めまい薬(ベタヒスチンなど)や制吐薬(メトクロプラミドなど)を対症的に投与する。
根本治療
半規管に迷入した耳石を、頭を特定の順番で動かすことで卵形嚢に物理的に戻す「浮遊耳石置換法(理学療法)」が第一選択であり、極めて有効である。後半規管型には「Epley(エプレ)法」、水平半規管型には「Lempert(レンパート)法(BBQ roll法)」などが行われる。自然軽快することも多いが、再発を繰り返すこともあるため、長期間の臥床を避け、適度な寝返りを推奨する。
病態
卵形嚢にある耳石(炭酸カルシウムの結晶)が剥がれ落ち、半規管(約60〜80%は後半規管)に入り込む(半規管結石症)、またはクプラに付着する(クプラ結石症)。頭を動かすと重力によって耳石が移動し、内リンパ液の流れが生じて異常な前庭信号が脳に送られ、めまいと眼振が誘発される。
原因
加齢、頭部外傷、長期臥床、女性ホルモン低下などが誘因となるが、特発性(原因不明)が最も多い。
試験での重要ポイント
「朝起き上がった時、寝返りを打った時、上・下を向いた時に起こる、数十秒(短時間)の回転性めまい」が典型的なエピソード。難聴や耳鳴りなどの「蝸牛症状を伴わない」ことがメニエール病との最大の鑑別点である。診断において後半規管結石を誘発する「Dix-Hallpike(ディックス・ホールパイク)試験」と、治療において耳石を卵形嚢に戻す「Epley(エプレ)法(浮遊耳石置換法)」は超頻出。また、眼振には「潜時(頭を動かしてから数秒遅れて始まる)」と「疲労現象(繰り返すとめまい・眼振が弱まる)」がみられることも重要である。
覚え方・コツ
「BPPVは、ベッドで寝返りグルグル(数十秒)、耳鳴り・難聴なし(蝸牛症状なし)。ディックス(Dix-Hallpike)で探して、エプレ(Epley)で耳石をコロンと戻す」と覚える。
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