食道静脈瘤は、肝硬変などによる門脈圧亢進症に伴い、食道粘膜下の静脈が怒張・蛇行した状態である。破裂すると致死的な大出血(大量吐血)をきたすため、内視鏡的治療による予防と緊急止血が極めて重要となる。
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未破裂時は無症状。
破裂時:突然の大量の吐血、下血(黒色便:タール便)、頻脈・血圧低下・意識消失(出血性ショック)。
基礎疾患の症状:黄疸、腹水、脾腫(門脈圧亢進)、クモ状血管腫、手掌紅斑(肝硬変の所見)。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):形態(F因子)、基本色調(C因子)、発赤所見(RCサイン)の3つを評価し、破裂リスクを判定する。
血液検査:血小板減少(脾機能亢進による)、肝機能低下、凝固能低下(PT延長)など、肝硬変の所見。
内視鏡的治療(予防的・緊急的):『EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)』および『EIS(内視鏡的静脈瘤硬化療法)』。
バルーン圧迫止血法:内視鏡治療が困難な大出血の緊急避難的処置として『S-Bチューブ(センスタケン・ブレイクモアチューブ)』を留置し、圧迫止血を行う。
IVR治療:門脈圧を下げるためのTIPS(経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術)や、胃静脈瘤に対するBRTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術)。
病態
肝硬変等で肝臓が硬くなると、腸管などからの門脈血が肝臓へ入り込めなくなり(門脈圧亢進)、心臓へ戻るためのバイパス(側副血行路)が形成される。その代表が食道・胃の静脈であり、圧に耐えきれず瘤(こぶ)となる。
試験・臨床での重要ポイント
肝硬変の代表的な致死性合併症。内視鏡検査で赤い斑点や発赤模様を示す『RCサイン(Red Color sign)』や、連珠状・結節状に大きく腫れ上がった形態は破裂の危険性が非常に高い。
治療手技の名称が頻出であり、輪ゴムで縛る『EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)』と、硬化剤を注入して固める『EIS(内視鏡的静脈瘤硬化療法)』が第一選択となる。
覚え方・コツ
「食道静脈瘤は『肝臓に行き場を失った血が作る食道のコブ』!破裂すると血の海(大量吐血・ショック)になるから超危険。胃カメラで赤み(RCサイン)があったら破裂寸前!破れる前にゴムで縛る(EVL)か、薬でカチカチに固める(EIS)!万が一破裂して止まらない時は、S-Bチューブ(風船)を飲み込ませて内側から圧迫止血しろ!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。