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脾腫は、脾臓が正常サイズ(長径約10cm)を超えて腫大した状態であり、門脈圧亢進症(肝硬変など)、血液腫瘍、感染症など多彩な原因で生じる重要な症候である。CBTや国試では、巨大脾腫をきたす疾患の鑑別や、脾機能亢進に伴う汎血球減少が超頻出である。
腹部症状:左季肋部の腫瘤触知、膨満感、圧迫感、胃の圧迫による早期満腹感、脾梗塞を伴う場合は左季肋部痛。
脾機能亢進による症状:貧血(動悸、息切れ)、白血球減少による易感染性(発熱)、血小板減少による出血傾向(鼻出血、紫斑、歯肉出血)。
初期評価
触診による左季肋部の腫大触知と、採血での汎血球減少(特に血小板減少)から疑う。
検査
『腹部超音波(エコー)検査』または腹部CT検査で脾臓の腫大(長径11〜12cm以上、または脾指数の増大)を画像的に証明する。原因検索のため、肝機能検査、肝炎ウイルス検査、末梢血塗抹標本、骨髄検査(血液疾患疑い時)、可溶性IL-2受容体(悪性リンパ腫疑い時)などを実施する。
治療方針
脾腫そのものに対する治療ではなく、『原因疾患の治療(肝硬変の管理、白血病への分子標的薬、感染症への抗菌薬・抗ウイルス薬など)』が原則である。
外科的・インターベンション治療
脾機能亢進症による重篤な血小板減少(出血傾向)や貧血がある場合、または巨大脾腫による圧迫症状・破裂リスクが高い場合には、『脾臓摘出術(脾摘)』や、カテーテルを用いた『部分的脾動脈塞栓術(PSE)』が適応となる。※脾摘前(または術後早期)には必ず肺炎球菌ワクチンの接種を行う。
病態
脾臓は古くなった赤血球の破壊や免疫、血液の貯留を担う。肝硬変などによる門脈血流のうっ血(うっ血性脾腫)、白血病やリンパ腫などの腫瘍細胞の浸潤、感染症(EBウイルス、マラリアなど)、代謝異常(ゴーシェ病など)により腫大する。腫大した脾臓は正常な血液細胞までも過剰に破壊・捕捉するようになり(脾機能亢進症)、汎血球減少(特に血小板減少)を引き起こす。
試験・臨床での重要ポイント
「左季肋部の巨大な硬い腫瘤(巨脾)」を触知した場合、『慢性骨髄性白血病(CML)』、『原発性骨髄線維症(PMF)』、『真性多血症(PV)』などの骨髄増殖性腫瘍や、マラリア、ゴーシェ病を強く疑うことが鑑別の鉄則である。また、肝疾患(肝硬変など)の患者で『血小板減少』がみられる場合は、門脈圧亢進に伴う脾腫(脾機能亢進)が最大の原因である。治療で『脾臓摘出術(脾摘)』を行った後は、莢膜を持つ細菌(肺炎球菌など)に対する免疫が低下し、劇症型感染症(OPSI)を起こしやすくなるため『肺炎球菌ワクチンの接種』が必須となる。
覚え方・コツ
「左あばらの下のデカい塊(脾腫)を見つけたら、原因は『うっ血(肝硬変)』『血液ガン(CML・骨髄線維症)』『感染(マラリア・EBウイルス)』『溜まる病気(ゴーシェ)』のどれか!脾臓が腫れると血小板や白血球を食い尽くす(脾機能亢進症)。脾臓を取った後は『肺炎球菌ワクチン』を絶対に打て!」
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クリオグロブリン血症は、体温より低い温度(寒冷曝露)で沈殿し、37℃に温めると再溶解する異常な免疫グロブリン(クリオグロブリン)が血中に存在する病態。C型肝炎(HCV)感染に高率に合併し、紫斑や関節痛、腎障害を引き起こす。
AIHAは、自己の赤血球に対する抗体(自己抗体)が産生され、赤血球が破壊(溶血)されることで進行性の貧血や黄疸をきたす疾患である。「温式(IgG)」と「冷式(IgM)」に大別され、直接クームス試験陽性が確定診断の要となる。
ALPSは、リンパ球のアポトーシス(細胞死)障害により、慢性的な非悪性リンパ増殖(リンパ節腫脹、肝脾腫)と自己免疫疾患(主に血球減少症)をきたす稀な遺伝性免疫疾患である。ダブルネガティブT細胞(DNT)の増加が特徴的。
急性前骨髄球性白血病(APL)は、骨髄芽球から前骨髄球への分化段階で成熟が停止する急性骨髄性白血病(FAB分類M3)である。重篤なDIC(播種性血管内凝固症候群)を合併しやすく致死的になり得るが、ATRA(分化誘導療法)が劇的に著効する特異な白血病である。